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2. ファッションAI「DROBE」が目指す究極のレコメンデーションとは

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ICC FUKUOKA 2023のセッション「AIの最新ソリューションや技術トレンドを徹底解説(シーズン4)」、全12回の②は、都筑 友昭さんによるDROBEの技術解説。好みのファッションをレコメンドするために、日々集まるユーザーのデータでトレーニングをしているといいます。究極として目指しているのは、ユーザーの購入ではなく満足というその真意とは?ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回ICCサミット KYOTO 2023は、2023年9月4日〜 9月7日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションのオフィシャルサポーターは ファインディ です。


【登壇者情報】
2023年2月13〜16日開催
ICC FUKUOKA 2023
Session 11C
AIの最新ソリューションや技術トレンドを徹底解説(シーズン4)
Supported by ファインディ

「AIの最新ソリューションや技術トレンドを徹底解説(シーズン4)」の配信済み記事一覧


DROBEのAI技術

都筑 DROBEのAIには、いくつか基幹となるような技術があります。

一番左側が、お話しさせていただいたレコメンドの技術です。

これ以外でも、ファッション、AIということで、コーディネートの提案などもできるようにしています。

レコメンドですと、やはり商品とユーザーみたいな形になってしまうので、良い順に上から出していくと、全部帽子みたいな感じになってしまうので、そういうところをどうするか考えないといけません。

あとはサイズで、ユーザーの身体情報をいただいていますので、その情報と洋服がマッチするかを機械学習を使って出していきます。

あとはタグ付けですが、この辺りはご想像しやすいのではないかと思います。

尾原 これも一般の人からするとたいしたことなく感じられるかもしれませんが、実はコーディネートひとつとっても、何をもって全体感があると思われるのかとか、めちゃめちゃ難しいじゃないですか。

かつサイズもあって、僕は全身ユニクロですが、いわゆるヌード寸、ゆとり寸、仕立て寸と呼ばれるように、人間の体型に合わせた着やすい服と、着た後のゆったり感やぴったり感など見た目が変わる寸法などがあるから、これまた奥が深い世界です。

これを全部やろうと思ったら、めちゃくちゃ大変ですよね。

都筑 本当におっしゃる通りで、サイズは時代とともに変わってしまうんですよね。

最近だと結構ゆったり目の洋服が流行っていて、5年前ぐらいだとぴったりが流行っていましたというような。

だから、同じサイズの商品を送って実際着れるのですが、「なんか小さい」とか「なんか大きい」とか言われたりするので、そういうトレンドをいろいろと取り入れないといけません。

AIにゆったり・ぴったりを学習させるには?

土田 ちょっとよろしいですか?

機械学習という観点でですが、ハイコンテキストとか、どんどん変わってしまうものを、どうやって実際にやられているのですか?

都筑 ありがとうございます。

我々のサービスはサブスクリプション型なんですね。

先ほどお伝えしたように、商品をお送りして、欲しいものを買っていただくのですが、いらないものは返していただきます。

そのいずれに関しても、フィードバックを必ずいただいています。

それが勝手にデータとして入ってきて、トレーニング自体は毎日していますね。

サイズのモデルやレコメンドのモデルは毎日トレーニングして、デプロイして切り替えるみたいなことをしています。

土田 僕らのやっていることは非常に簡単で、男性か女性かとか、年齢はちょっと難しかったりもしますが、答えが明らかなものをやっているので、比較的楽だと思います。

ぴったりやゆったりは、「ゆったりって何?」みたいな部分があるんじゃないかなと思います。

そういったところをどういうふうにやられているのか、すごく気になるところです。

都筑 そうですね、サイズ感に関してはユーザーからフィードバックをいただくときに、結構細かく聞いています。

ぴったりだったか、大きかったか、小さかったか。

大きかったとしたら、「どこが大きかったですか?」みたいに割と細かく聞いていて、それを信じるというところと、もうひとつは、この後で出てくるのですが、着こなし方ですよね。ゆったりみたいな。

それは結局、ファッション的なコンテキストがあるわけですよ。

そこはスタイリストが良いと思ったものをしっかり送ります。

それを正解としている、その二本立てという感じですね。

土田 フィードバック自体が機械学習の次のネタになっていて、それでどんどんブラッシュアップしていくということなんですね。

都筑 おっしゃる通りです。ありがとうございます。

尾原 武藤さんもちょっと聞きたそうですが。

武藤 1点だけちょっと気になっていて、このタイミングで聞くのがいいのか分からなくて悩んでいました(笑)。

「ハイパー・パーソナライゼーション」と言っているときに、ファッションは、最後に個性が出る場所は平均から解離した部分というか、自分が好きな服を選ぶところですが、機械学習のモデルは平均を作るモデルだと思っています。

そういったところはターゲット層のセグメントで分けているのか、何て言うんでしょう…、個性みたいな部分をどういうアプローチで取り組んでいるのか、すごく興味を持って聞いていました。

都筑 大変ありがとうございます! この話は、この次のスライドに。

尾原 おっ、キター! まるで下打ち合わせしてたかのような展開ですね!

(一同笑)

究極は買ってもらえなくても満足してもらうこと

都筑 お話しさせていただきます。

先ほどのものづくりの図(前Part参照)の販売のところをどのようにやっているか、お話しさせていただければと思います。

「パーソナライズドレコメンデーション」ですが、我々は今リッチなユーザー情報を結構持っていると思っています。

その情報と、あとはAIによってタグ付けされた商品情報の2つを入力として、レコメンドのアルゴリズムの一つである「Factorization Machine」を使って、レコメンドモデルを作っています。

これが基本形になりますね。

我々のレコメンデーションの目的は、一般的なECとは実はちょっと違うところがあります。

一般的なECにおいては、買っていただく商品を提案することがレコメンドの目的になりますが、我々は、究極的には買っていただかなくても良くて、満足していただければいいのです。

ユーザーの嗜好に合った商品を提案させていただいて、新しい商品や、それを着たご自身と出会うことで満足を感じていただいて、「このサービスいいな」とか、そういうふうに感じていただくことが我々の目的になっています。

尾原 究極で言うと、買わなくても、「今月こういうものを提案してくれたんだ。今月はワードローブを見たら似たものがあるけれど、だとしたら来月は好みの別のものがきっと来るんだろうな」という期待感が持てればOKということですものね。

都筑 おっしゃる通りです。

尾原 これは大事ですよね。サブスクの概念で。

都筑 そうです。買ってもらうだけなら、正直セール品を送ったほうが絶対いいんですよ。

ユーザーも、そうだとすると「別にいいや」みたいな、「ユニクロでいいや」みたいになってしまうので、ここは結構大事なポイントかなと思っています。

武藤 ちなみに以前、服のサブスクを登録していた時期があるのですが、毎月似たような服が来るので解約しました。

尾原 はいはい。

都筑 分かります。

尾原 もう1つ、後で話がありそうですが、結局1つの服の最適化ではなく、ワードローブ全体の最適化みたいな話になってきますものね。

ユーザーのアクションはどこまで信用できるのか

都筑 こういった課題設定をちょっとずらすということをしたときに、ちょっと問題になってくるのが、やはりユーザーのアクションですね。クリックとか購入ですね。

これはどこまで信用できるんだという話が出てくるかなと思います。

これは例を挙げると本当にキリがないぐらい、いろいろ考えてしまうのですが、2つ分かりやすい例を挙げています。

1つ目は、認識できている商品群の中での最適解を選択した、です。

ユーザーのアクションは、機械学習的な言い方をするとローカルミニマ(local minima)みたいなところで、認識できている商品群がそもそもそんなにないのです。

そういう中での最適解を選択してしまうことは結構あるんじゃないかなと思っています。

どこまでいっても、本当はもっとぴったりな商品があったかもしれない、この可能性を排除することはできません。

今後も、多分もっとできなくなっていくと思っていて、選択肢が今後も増えていくとなったときに、どうすればいいのか。

ユーザーが認識できる商品を増やせばいいのかといっても、そんな簡単でもなかったりするので、これは結構根深い問題です。

2つ目は、外的要因です。

分かりやすい例で言うと経済的要因ですが、意図的に自分の真の嗜好とは別の選択を行う、本当は高級な商品が欲しかったけれどお金がないので一旦安い商品を購入してお茶を濁しました、と。

これを機械学習のほうでそのまま入れると、このユーザーはこの価格帯のこの商品が好きだとなってしまったりするので、結構これも難しい問題だと思います。

尾原 そうですよね。

やはり機能性の商品と違って意味性の商品は憧れを作り出すものですが、一方で現実的なお財布事情などの制約条件を考えると、「役に立つ」や「無難」に引っ張られます。

意味性(ミツエーリンクス)

先ほどの継続という話に戻ると、無難にしていくと魅力がなくなっていきます。

都筑 おっしゃる通りですね。

尾原 どうやって、このトレードオフを解消しているんですか?

都筑 そうですよね、ありがとうございます。

尾原 あっ、次の話題に誘導された?(笑)

都筑 あ、そんなつもりはないです(笑)。

(一同笑)

(続)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/戸田 秀成/小林 弘美

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