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9. 人間の高度な知的活動のAI化には価値がある

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ICC FUKUOKA 2023のセッション「AIの最新ソリューションや技術トレンドを徹底解説(シーズン4)」、全12回の⑨は、現場で使われ活用されるAIにするための、ALGO ARTISのこだわりについて。人間が日々蓄積している知的活動をAI化することは、社会にとって大きなインパクトがあるといいます。製造業や流通業に関する日本の課題をAIの浸透により解決していきたいといいます。白熱する議論をぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回ICCサミット KYOTO 2023は、2023年9月4日〜 9月7日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションのオフィシャルサポーターは ファインディ です。


【登壇者情報】
2023年2月13〜16日開催
ICC FUKUOKA 2023
Session 11C
AIの最新ソリューションや技術トレンドを徹底解説(シーズン4)
Supported by ファインディ

「AIの最新ソリューションや技術トレンドを徹底解説(シーズン4)」の配信済み記事一覧


現場業務にしっかり価値を届け、活用され続けなければいけない

武藤 ALGO ARTIS(アルゴ・アーティス)のこだわりをお話しさせていただきます。

AIの話というより、ALGO ARTISのものづくりに対するスタンスの話になります。

まずこだわりの1つ目ですが、AIでも、やはり一番大事なのはこれだと思っています。

現場の業務にしっかりと価値が届いて、活用され続けなければ価値がないと思っています。

どのAIを作るときも、同じ視点でやる必要があると思っています。

例えば、PoCで売上が立てば最悪見直されなくてもOKとか思っていたら、多分AIが上手く現場に入っていきません。

ALGO ARTISの全メンバーがこのこだわりを強く持っているのが重要です。

事実として、計画策定は人間の高度な知的活動だと思っています。

そのトレードオフの関係をしっかり考えながら、良い計画を策定する。

これをAI化したことをちゃんと実績として持っていて、しかも現場でちゃんと使われて、毎日最適化が実行され続けています。

この計画策定の領域で、これだけの成果と実績を本当に出せている会社がありますか?というぐらい…、すみません、ちょっと煽り文句になってしまいましたが、ここにはすごく自信とこだわりを持っています。

尾原 この辺りのモデル化は、先ほども言われたように、計画策定の職人の方が実はここにこだわっているのに、そこを無視するということになると、現場からは本当に使われないものになってしまいます。

実はものすごいexpertise(専門知識)というか、もともとAIのことを分かっている人間が現場に入り込んでいって、その現場の知を可視化、モデル化していくので、実はめっちゃ共創領域になる場所ですよね。

武藤 そうですね。AIが使えるからとりあえずAIでやろうよみたいな感じではなくて、ちゃんと価値があるかどうかをしっかり見ながら、AIを使ってやる必要があると思っています。

尾原 地道ないい話だ。

運用しやすいUI/UXにこだわる

武藤 あとは先ほどの話に近いですが、日々の計画策定業務でちゃんと運用をしやすいUI/UXにもこだわります。

良いアルゴリズムを作ったから渡すね、だと使ってもらえず、業務で使いやすくなければ意味がないです。

右下はUIを作っているものですが、計画策定業務は静的に固定された問題を解いて良い結果を出せばいいわけではなくて、日々更新される情報から動的に実行されやすくないと価値を出せないのです。

だからUIを作り込んで、更新して最適化をし直すと計画を締め切るみたいな形で、プロダクトの提供も行っています。

再現性をもって最高のクオリティを実現

武藤 こだわりの3つ目ですが、ノウハウもしっかりと蓄積して、ソリューションのフレームワーク化やプロダクト化を進めています。

これはAI会社あるあるですが、プロジェクトごとによしなにやって、という感じになって、スーパーマンみたいな人が入ったプロジェクトは上手くいくけれども、そうでないと上手くいかないみたいなことがあります。

そうではなくて、ちゃんと共通化を進めて、最高のクオリティを再現性をもって実現していくことにこだわりを持ってリソースをしっかり割いてやっています。

尾原 こういう話を聴くとますます、何でしょう、アメリカだとやはりある程度大きい会社になるとCOI(Chief of Information)がいらっしゃるじゃないですか。

結局COIが、イコールAI最適化の場になってくるんだなというのを、お二人の話を聞いていると思いますね。

個別最適から全社のダッシュボードとして可視化していて、完成領域は完成領域でどこをステップで最適化するか。

一方でコストとか安全性みたいなところは、まさに会社のリスクマネジメントであり、営業利益に直結するところだし。

武藤 あと、プロダクト化を進めていて、この場で言うのは全然合っていないなと思いつつ、採用募集をしていますので…、ちょっと深夜テンションでスライドに書いてみました(笑)。

尾原 言っていいです、大丈夫です(笑)。

武藤 以上が、AI事業としてみたときのALGO ARTISの特徴とこだわりでした。

「ヒューリスティック最適化ってAI?」とChatGPTに聞いてみた

武藤 最後はトレンドの話に行ければなと思いますが、時間はもうギリギリですか?

尾原 結構ね、ギリギリです(笑)。

武藤 ごめんなさい、駆け足で、コーヒーブレイクは飛ばし目でいきます。

「ヒューリスティック最適化はAIなのか?」みたいな議論がありますが、これは「最適化AI」です。

ChatGPTに「ヒューリスティック最適化ってAIですか?」と聞いてみました。

尾原 急にネタになりましたね(笑)。

武藤 不安になって聞いたんですよ。

そうしたら、「はい、ヒューリスティック最適化は人工知能(AI)の一部であり、最適化問題を解決するために使用される手法の1つです」と答えてもらいました。

これには実は、2枚目のスライドがあります。

1回目に聞いたとき、実は違うと言われてしまって、あせって1つ質問を追加しました。

「最適化AIという単語を知っていますか?」と1回聞いてから、「ヒューリスティック最適化はAIですか?」と聞き直したら、1つ前のスライドの回答になりました。

尾原 なるほど。

武藤 なので、いきなり聞くと違う結果になるかもしれないので、気をつけてください(笑)。

尾原 GPTは基本的に2021年の英語が多めのデータベースから策定しているから、日本語のカタカナで掛け算にした単語を常識としてモデル空間に持っていなかったかもしれないですよね。

武藤 そうですね。

なので、1回質問で学んでもらって、ちゃんと「ヒューリスティック最適化はAIだ」と。

人間の知的活動のAI化には価値がある

武藤 すぐ終わらせようと思いますが、「技術的ブレークスルーと産業への浸透」です。

先ほど書いたのですが、人間の知的活動を最適化することのインパクトは非常に大きいと思っています。

単純作業をただ単にRPA(Robotic Process Automation)やちょっとした最適化で置き換えるのではなくて、人間が苦労してやっている知的活動のAI化はすごくインパクトがあると思っています。

尾原 本当に。

これはお二人の意見も聞きたいところですから、5〜10分掛けても大丈夫ですよ。

武藤 ありがとうございます。

都筑 そこは本当に共感しかなくて、やはり今まで人間がめちゃめちゃ苦労してやっていたことを上手いこと技術を使って置き換えていくのはすごい価値があるなと思います。

やはりそれによって、自分の実感としてはですが、仕事を奪われるという感覚は結構ないなと感じています。

むしろそこからどうやってバリュー・アドオンするんだとか、そういった感覚はすごくあるなと思うので、すごい共感できるなと思います。

武藤 人の仕事をいかに奪って、本当に人がやるべきことにいかに集中できるようにするかがAIの醍醐味だと思っているので、インパクトも相当大きいと思っています。

AIの浸透と社会実装のフロンティア

武藤 これは最後のスライドですが、私の独断と偏見で整理しました。

これで最後の一連のスライドなので、見てもらえたら嬉しいです。

左側が単純作業、右側が人間の知的な高度な活動です。

上側が個人に近くて、下側が社会基盤や社会に近い感じです。

ラフに書いているので細かいところを詰めないで気楽に見てもらえればと思いますが、左側の単純作業は改善が進んでいます。

何で進んでいるかというと、SaaS系のビジネスですごく進んでいて、紙を管理するのはやめましょうとか、RPAで対応しましょうみたいなところが、SaaSでどんどん改善しています。

上側の個人、ハイパー・パーソナライゼーションもそこですけれども、上側はAIの機械学習やディープラーニングなどの領域ですごく進んでいます。

では残りの領域、社会に浸透する部分は何の技術でできるのかというと、これが最適化AIというもので、ALGO ARTISが使っているヒューリスティック最適化という手法によってできていると思っています。

これは当然日々改善活動が進みます。

SaaSでいうと、より細かいニーズを汲み取ったSaaSのほうがどんどん提案されて、より便利になっていると思っています。

最近話題のChatGPTなどの生成系AIは右上の領域が震源地で、生成AIのフロンティアは右上にあると思っています。

個人と人間の知的活動の組み合わさった部分を新たな可能性の追求でAIに置き換えていく。

個人だとやはりデータが大量にあったりするので、そこから生成AIを作りやすい傾向があるからです。

でも下のほうは各社各様のものづくりの流れを、工場の制約など、いろいろな条件を考えながらやらなくてはいけません。

各社各様なのでデータも集まらないし、生成AIだとなかなか入り込めない領域です。

ここが(最適化AI)、AI社会実装のフロンティアだと思っています。

社会基盤の最適化が進むのはここで、最後に言いたかったのは、ALGO ARTISはこのフロンティアを引っ張っているつもりでやっているということです。

そこが主張したいところでした。

尾原 この右下の日本の製造業や流通業が、なぜあんなに高品質で安くできるのかというと、最初におっしゃられたように、1人の職人技に依存していて、まさにARTISANの、クラフトマンというおもてに見えるデザインワークをするのが上の人で、実はARTISANは元々の言葉の意味でいえば、素材や基盤を支える職人のことですよね。

武藤 そうです。

尾原 実は日本の競争力は右下にあるし、ましてインフレ時代になってくると、ここが大きな課題になってくるわけですよね。

武藤 ここが変わらないと日本が良くならないみたいなレベルで、日本の課題のコアだと思っている感じです。

尾原 土田さんも共感するところがあるんじゃないですか?

深層学習ベースのソリューションも社会実装へ

土田 もう本当に、ここに書いてあるものはそうだと思いつつも、次の自分の話につなげるために1つだけ言っておくと、この「AI(機械学習、深層学習)」というところも、社会実装のフロンティアという方向に行く可能性は十分にあると思います。

今あるさまざまな技術課題を解決すればいけるところもあるのですが、一番僕らが今着目している、コンピュータビジョン系の、ディープラーニングベースのソリューションは、どうしても最適化問題で解くのが難しいのです。

なぜかというと、膨大な入力があり、その膨大な入力の中にはものすごく冗長なデータが含まれていて、普通にこれを説明変数にしていくと、とんでもないことになってしまいます。

これを今現実的に解決するアプローチみたいなところがやはりディープラーニングみたいな形になっているし、この後説明しますが、そこで僕らは機械で目を作りたい。

目というファンクションが持っている、さまざまな社会実装の可能性はすごくあると思いますし、アプリケーションとしてStable Diffusionや生成系がもてはやされていると思いますが、僕らが取り組んでいるものは、かなりいぶし銀と言いますか、渋いところです。

その渋いところを、ではどうやったら下のほうに持っていけるかみたいなところは、僕らはすごく意識してやっているところではあります。

ただ、この絵はもう共感しかないです。

尾原 すごい分かりやすいですね。

そういう意味でいうと、感性という、何をもって人が選んでいるのか分からない領域からの進化もあり、それは人間の裏側を支えている、本当に地道だけれどもインパクトの大きい領域でもあります。

でもAIがどこから始まったかというと、ディープラーニングによって認知、認識という、まさに目の発明というところから入った領域がどこまで進化しているのか、土田さん、お話をお願いします。

割と時間が…、意外と時間いっぱいで…。

武藤 すみませんでした。

尾原 いえ、全然。ごめんなさい、僕が楽しくてしょうがなくて(笑)。

(続)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/戸田 秀成/小林 弘美

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