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10. “人間の目を超える目”で、何が可能になるのか

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ICC FUKUOKA 2023のセッション「AIの最新ソリューションや技術トレンドを徹底解説(シーズン4)」、全12回の⑩は、“人間の目”を作るAWL土田 安紘さんの登場。AWLは店舗の防犯カメラを活用したAI映像分析、店内の客の行動から見る顧客体験の効果検証などを、目のファンクションを用いることで可能にしています。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回ICCサミット KYOTO 2023は、2023年9月4日〜 9月7日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションのオフィシャルサポーターは ファインディ です。


【登壇者情報】
2023年2月13〜16日開催
ICC FUKUOKA 2023
Session 11C
AIの最新ソリューションや技術トレンドを徹底解説(シーズン4)
Supported by ファインディ

「AIの最新ソリューションや技術トレンドを徹底解説(シーズン4)」の配信済み記事一覧


土田 最後に私からAWLがどんな会社か、ご紹介していきたいと思います。

こちらはオフィスで撮った写真ですが、非常にユニークなオフィスだと思っています。

尾原 国際色が。バラエティが。

土田 私どもには今世界20カ国からAIエンジニアたちが集まっています。

先ほど(前Part参照)少しご説明しましたが、ディープラーニングによって“人間の目”を機械で作っていきたいと事業に取り組んでいます。

ただ、PoCで終わるみたいな話が、先ほどまさにあったわけです。

山ほどGitHubに転がっている適当な画像検出系の何かを持ってきてできるんだと言って実装して、PoCでできたとかできなかったとかだけで終わるようなケースは、たくさんあったと思います。

僕らはそうではなく、どうやったらこの「機械の目」が社会インフラ、社会基盤としてさまざまなビジネスの中で活用されるようになっていくかを非常に意識しながら、バラエティ豊かなメンバーと一緒にやっているところです。

少しだけ会社の紹介をさせていただきますと、AWL株式会社と申しまして、北大発の認定ベンチャー企業です。

右から2番目がファウンダーの北大の川村(秀憲)先生ですが、川村先生と現CEOの北出(宗治)の2名で会社を起こしています。

尾原 川村先生はAIの草分けですからね。

土田 最近AI川柳ですとか、色々なエンターテインメントの領域でもかなりご活躍されています。

この間、所さんのテレビ番組に出たよとか話もしていたのですが、そんなこともしながら、多分松尾(豊)先生と肩を並べるような先生なんじゃないかなと思います。

あともう1名、IIT BombayのBiplab教授を知っている方は会場では多分いらっしゃらないと思いますが、画像系の国際学会にいろいろな論文を通されている研究室の先生です。

Biplab先生の研究室と一緒に、機械学習のコストをどう下げて、それによっていろいろな所に機械の目を導入していったとしても、その場所で陳腐化して使えないものにならないようにどうしていくか、そういったチャレンジをしています。

詳細は後ほどお話しさせていただきます。

あとはインドにも拠点がありまして、関係ない話ですが、私は明日から1週間ほどインドに行って、IIT Bombayで2日間ハッカソンをやります。

【インド現地開催】 NEDO 新エネルギー・産業技術総合開発機構 × IITB Research Park Foundation共同研究推進セミナー(AWL)

50組も応募が来てしまい、審査できるのか?みたいな話があるのですが、そこでまさにエッジAI、コンピュータビジョンを使って、リテールDXというテーマで、学生たちがどういうアイデアを出してくれるのか、そんなことをやっていきたいなと思っています。

人間の目を超える目で店舗のオペレーションを最適化

土田 冒頭で申し上げた通り、私どもは今、どうやって人間の目のファンクションをさまざまなビジネスで社会実装できるものにしていくか、まさにそういったところにチャレンジさせていただいています。

リアル広告の効果測定を可能にする「エッジAI」から、人間とAIが協調する豊かな未来を目指す「AWL」(ICC FUKUOKA 2022)

尾原 前回のプレゼンより、スライドがめっちゃかっこよくて簡潔になっていますね。

土田 えっと、前回は私が作成したもので、こちらはデザイナーが作りました(笑)。

尾原 なるほど、ありがとうございます(笑)。

土田 その辺りの能力は、私がかなり低いというところで(笑)。

当たり前ですが、人間の目ってすごいよね、いろいろなことに使えるよねというのは、説明するまでもないかと思います。

一番のポイントは、先ほどの最適化AIの話でも出てきましたが、私たち人間の目ってすごくて、パッと見たものを、ここに人がいるよね、男性だよね、女性だよね、パソコンだよねと瞬時にある種認知できます。

これは古典的な機械学習のアプローチだと、今までできない、もしくは非常に限定的に笑顔だけがちょっと検出できるからちょっと使いましょうという、そういったところに留まっていました。

これがディープラーニングという技術の登場によって、まさに人間の目のようにビジョンの情報を認知する機能が実装できるようになってきたので、これをなんとかPoCの形で終わらないものにしていこうと活動をさせていただいています。

人間の目はいろいろなことができるので、いろいろなところに使えますが、まずは私たちはリテールのオペレーションの最適化や、そういったところに使える、人間の目の機能に一旦フォーカスを絞ってやっています。

左から2つ目はAWL BOXです。

お店には必ずセキュリティカメラがついているかと思いますが、セキュリティカメラの映像はお金をかけて蓄積しています。

万引きなどが残念なことに起きるのですが、基本的には万引きが起きたときに警察に提出するための証拠映像としてしか使わず、全部捨てていました。

非常にもったいないのですが、それを人間の目で隅から隅まで全部見ることは当然コスト的に無理なわけです。

これを機械の目で見ることができて、店舗へのお客様の入り方や属性、売り場でお客様がどのように滞在されているのか、販売との相関などに活用できれば、今まで捨ててしまっていたデータがたちまち宝物になっていきます。

それをサポートする商品として、AWL BOXを提供させていただいています。

最近よく聞く「リテールメディア」とは

土田 真ん中のものはシーズン2で少しお話しさせていただいたデジタルサイネージの視聴効果分析をするAWL Liteです。

最近コンビニを中心に、「リテールメディア」という言葉がかなり声高に言われ始めています。

リテールメディアについて、少しご説明させていただきますね。

メディアというと、雑誌やテレビなどのマスメディア、語る必要もないぐらいですが、そこからインターネット上のウェブメディアになっていき、主に新しい広告ビジネスを作っているわけですが、次はリテールメディアだといわれています。

「リテールメディアって何?」と言われると非常に難しくて、おそらく明確な答えは現時点で誰も出せないのではないかと思いますが、ただ、やろうとしていることは非常にシンプルです。

お店そのものをメディア化しちゃいましょうということです。

ディスプレイをつけてそこから広告を流して、レジ待ちをしているお客様に広告を見てもらうみたいなところがまずはありますが、それは非常に狭義のリテールメディアです。

お店自体をメディアにするというのは、単に紙ポップをつけるとか、デジタルサイネージを置くということではありません。

店員さんがスペシャリストもしくはディズニーランドのキャストかのように、そのお店で売っているさまざまな商品を提案するとか、そこでお客様に新しい体験を与えて、今まで知らなかった、「自分ってこういうものが好きだったんだ」という価値観を与えるとか、そういったところまでを含むかなり広い概念になっています。

尾原 DROBEさんは逆にリテールメディアをオンライン化していると言ってもいいわけですね。

都筑 おっしゃる通りです。

自分の事業の話をしてしまいますが、今後は我々もリアル店舗をやっていこうという話をしていまして、そういったところで非常に分かるなと思ってお話を伺っていました。

土田 そのときはぜひ一緒にやらせていただければと思います。

都筑 そうですね。

尾原 メディアはもともと「メディウム」という意味で、「媒介」とか「触媒」という意味なので、何かの変化を加速させるものであり、態度変容させるものがメディアです。

そういう意味では、お店の中や商品陳列を見てワクワクすることもメディウムだし、店員さんとのやり取りの中でワクワクすることもメディウムです。

もともと広告費8兆円に対して販促費は16兆円市場あるから、実は「リテールメディア」はバズワードにしているだけで、古くて新しい、でも大事なのは目がつくことによってより最適化できたりパーソナライズできたりするということですよね。

土田 おっしゃる通りです。

PDCAが非常に難しかったのは、例えばコンビニでいうと、コンビニの店員さんってキャストではなく日々のオペレーションを必死に回している方々で、「今日おでん入りましたよ、食べませんか?」みたいなことを言う人はあまりいないですよね。

尾原 ディズニーランドみたいに「全部のスタッフが演者です。キャストです」みたいなことをコンビニに求めたら、それは大変ですよね。

土田 それは難しいので、入りとしてデジタルサイネージみたいなところが非常に良いよねというところで、そこから入っています。

結局は目のファンクションで、お客様がサイネージを見た後にどういう行動変容が起きたか、それがポジティブなのかネガティブなのかといったところでフィードバックを回して、それによってより良い広告を今は出していきます。

このフィードバックを回すためには、どうしてもやはり目のファンクションが必要で、そういった観点でこのAWL Liteを提供させていただいています。

最後に書いてあるAWL Trainer、AWL Engineは今日お話ししたいところですが、AWL BOX、AWL Liteという形で、店内のお客様や商品、店員さんなどをデジタライズしています。

先ほどのバイアスの話(Part.2、3参照)や、最適化していくときに要件がみたいな話もありましたが、私たちが取り扱っている「機械の目」にも実は同じことがあります。

例えば2023年3月以降マスクの着用は個人の判断になるのでつけなくても良くなります。

当然僕たちは、マスクをつけていない人もそれが人間だと分かるし、男性だ女性だ、年齢はもっとよく分かるかもしれないわけです。

でも機械の目はそこまで万能ではなく、あくまで機械学習で、要はデータの中に現れていた特徴の平均値だったり分散だったりというところで類推するに過ぎません。

そうなってくると、みんながマスクを外しだすと一斉に精度が落ちるといったことが起こります。

では、マスクをつけたデータで学習し直さなければいけませんよね。

そのためのコストを考えると、とんでもないことになっていくということで、後半にお話をさせていただきたいと思うのが、このAWL Trainer、AWL Engineです。

(続)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/戸田 秀成/小林 弘美

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