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5. AI活用により「作る前に販売、廃棄減」が可能になるファッション産業の未来

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ICC FUKUOKA 2023のセッション「AIの最新ソリューションや技術トレンドを徹底解説(シーズン4)」、全12回の⑤は、ファッションと生成AIについての話題です。企画を助け、デザイナーを助け、製造を助けるAIの真ん中でジャッジを行うのは人間。ファッションは「売れてから生産が一般的になる」という予測の根拠も語られます。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回ICCサミット KYOTO 2023は、2023年9月4日〜 9月7日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションのオフィシャルサポーターは ファインディ です。


【登壇者情報】
2023年2月13〜16日開催
ICC FUKUOKA 2023
Session 11C
AIの最新ソリューションや技術トレンドを徹底解説(シーズン4)
Supported by ファインディ

「AIの最新ソリューションや技術トレンドを徹底解説(シーズン4)」の配信済み記事一覧


DROBEのStable Diffusion活用

都筑 次に、「Generative AI」は、やはりファッションをやっていると避けて通れないかなというところです。

本当にちょっと試してみたぐらいのところなので、これからやっていく感じです。

先ほど企画の後、絵型を作ってパターンを引く話をさせていただきました(前Part参照)。

絵を描くところでベースとなる、例えばブラウスとか、これは自社の商品ですが、この商品のデザインをベースに企画から出てくる大量のタグを食わしてあげて、Stable Diffusionに入れると、右のようなものは割と簡単に生成できます。

今はあまりモデルに手を入れてという感じではやっていませんが、右のものを出してあげるだけでも、デザイナーからすると「結構助かる、これ」みたいな話になってきています。

この辺りを上手く取り入れていって、デザインパターンのところもAI化していくようなことを考えていたりします。

尾原 そうですね。

個人的に思うのは、生成系は絵を勝手に作ってくれるとみんな思っていますが、結局「プロンプト」と呼ばれる単語と、絵というところのモデルのデータセット学習のところに肝があります。

プロであるスタイリストは、服に合ったプロンプト使いになるはずだから、そこの深層強化学習が結構肝な気がします。

AIがすべきこと・人間がすべきこと

武藤 この図がすごくいいなと思っています。

ここにグレーの場所(「判断」)がありますよね。ここが自動化していない場所で。

尾原 なるほど!

都筑 そうですね。

武藤 これが人間の本質的な、一番価値を出す行為だと思っているんですよ。

自動でやれるところは自動でやります、人は、人がやるべき意思決定や創造活動をしましょうというところにフォーカスされている素晴らしい図だなと思いました。

なんかすごく自然な世の中になりそうだなというのを感じて見ていました。

都筑 ありがとうございます。こんなに褒められるとは思っていませんでした(笑)。とても嬉しいです。

やはり人間が判断していくのは今後も外せないポイントになると思います。

武藤 この後説明する製造系の最適化も、結局は人がやらなくていいことに時間を割いていたところを、いかにその人がやるべき仕事に集中できるようにするかというものです。

そのための情報をサポートするのがAIの役目だと思っていますので、この図を見てどこも同じだということに気づいて、すごく感動していました。

尾原 この辺りは、ファッションへの提案もあるけれど、実は後ろのパタンナーの作りやすさみたいなところを、ある程度の制約条件にしながらやるみたいなところもあります。

多分出力データそのものが、スタイリストが選ぶときは画像だけれど、裏側にパタンナーの、まあ僕はよく分からないですが、アパレルにおけるCADみたいなデータを持っていて、みたいなところまでいくわけですものね。

都筑 そうです、そこまでは作ってあげてしまって。

尾原 出力が、スタイリストにとっての出力と、この後続いていく製造、配送、在庫管理に優しい生成系のAIみたいなところもあるということですよね。なるほどなあ。

AIに対する世間の誤解

土田 ちなみにですが、世間のバイアスがあって、「ChatGPT最高」とか「Stable Diffusionがあったら、もうデザイナーはいらないよ」という誤解にまみれているし、誤解にまみれているクライアントからの、誤解にまみれた要求仕様で、みたいなところもあると思います。

(一同笑)

そこってやはりすごく難しいというか、期待値コントロール的なところはすごく難しいんだろうなと思います。

分かっている人だと、「ここにグレーがあるからいいよね!」と言うだけですが、分かっていないと「なんでグレーなの?」みたいな話に。

尾原 「全部やってくれないの?」みたいな。

土田 「そこ、やればいいじゃん」みたいな(笑)。

尾原 AIあるあるですよね。

クライアントが来たときが期待値100%で、「いや、AIはそれはできないんです」と、僕らは期待値を下げないと。

武藤 結局まともな解を出してくれないと、最後に無料から有料に変わるタイミングで全員シビアな意思決定をすると思っています。

ChatGPT Professionalに今登録している人というのは、多分すごくそれに魅力を感じて価値を出している人だけというのが、答えなんじゃないかなという気はしています。

尾原 どうですか、その辺りは?

都筑 そうですね、やはりおっしゃる通りだなと思っていますし、ChatGPTもStable Diffusionもそのままでは使えないと考えていますね。

この図に戻りますが、フリルとかは解釈してくれるんです。

尾原 ああ、確かに確かに。

都筑 特殊なファッション用語は、自分も知らないものがたくさんあります。

ボートネック、船みたいな形の首のラインとか入れてみたりしても、全然解釈してくれませんでした。

先ほどの話と少し似ているのですが、ちょっとプロンプトで味付けをしてあげて、我々が扱いやすい形や望む形に逆に若干バイアスを掛けてあげないと、上手く使えないなとは思っています。

服は売れてから作るのが一般的になる

都筑 残りスライド3枚というところで、「レコメンドとGenerative AIによる未来」です。

少し煽った感じの言い方になってしまうかもしれませんが、今後AIによって無尽蔵に商品は生み出されていくのではないか、これはやはりそんなに避けて通れない道なのではないかと思っています。

あとは、バーチャル空間で試着などもできるようになっていくんじゃないかなと思っています。

それによって何が起こるかというと、販売を先にするという、作る前に売るのが一般化していくのではないかと思います。

そうすると、ファッション業界でよく取りざたされている廃棄の問題などが、多分劇的に減らせます。

テクノロジーによって、「売れたものしか作らないので、そもそも廃棄がないです」という状況に、少しでも近づけることができるのではないかと思います。

そうすると廃棄分のコストをユーザーが支払わなくてよくなるので商品が安くなるとか、メーカーも利益が出せるとか、今までちょっと難しいと言われていたものを、テクノロジーを使って構造から変えることで、ポジティブな方向に回転させていけるようになっていくのではないかと思っています。

DROBEの考える未来

都筑 これを踏まえて、我々はですね。

尾原 「我々」ね(笑)。

都筑 はい、すみません。宣伝スライドになるのですが(笑)。

今後も商品情報は大量に増えていきますので、レコメンドを軸にして取捨選択する技術はどんどん重要になっていくのかなと思います。

我々はデータを扱って、市場と商品開発、そういったところをつなぐハブとなっていきたいと考えています。

尾原 ありがとうございます。

結局AIは何を最適化するために、何を入力に使って、現実的に実行可能な何に出力するかという設計だと、個人的にずっと思っています。

DROBEさんは、それがむちゃくちゃ上手くないですか?

僕が一番感動したのは、商品を買うのではなくて継続することだみたいな(Part.2参照)。

そうだとしたときに、継続の中で「Serendipity」が将来大事になる要素です。

喫緊で言えば、AIをスタイリストとのコラボの中でやっていくという非連続な理想的な追求と、今現実的な形の中で本当に最適化すべき継続をやるみたいなモデルの設定の仕方がやばいなと思いながら聴いていました。

どうやったらそんなふうになれるんですか?

都筑 ありがとうございます。

サービス自体は、最初からAIでやっていくぞという設計というか思想のもと、データを取りました。

とは言え、ユーザーに価値を届けるところが大事だと思っていますので、正直このセッションで言うのも若干微妙かもしれないですが、AIというのもHowでしかないとは思っているんですよね。

ですので、そのHowをどう使うかとか、場合によっては別にルールでもいいと正直思っていたりはするんです。

とは言え、やはりいろいろ試していく中でAIが良かったという、その中でもがいていく中で、こういうことをやっていたりはします。

そういった意味では、どこに重きを置くかというところで言うと、サービスをやっているところが結構大きいのかもしれないですね。

尾原 そうですね。

サービスの基盤に、お客様との継続的な接点に、でも製造的な接点にもAIがずっとアシストとしているから、ファッションシーン×AIと言うと、もうこすられた(新しいものがない)ように見えるのですが、実はまだまだレバレッジできるところがあるというお話ですよね。

都筑 はい。

尾原 そういう意味では、同じようにこすられたように見える中でも、まだまだ実はアップサイドがあるぞというのがサプライチェーンの領域だったりします。

武藤さん、お話しいただいていいですか?

(続)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/戸田 秀成/小林 弘美

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