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7. 1年あたり数億円のインパクトも! 計画最適化で削減されるコストの内訳

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ICC FUKUOKA 2023のセッション「AIの最新ソリューションや技術トレンドを徹底解説(シーズン4)」、全12回の⑦は、引き続きALGO ARTISの技術について。日々変更が生じるサプライチェーンの自動最適化で、影響が及ぶ関係者に対する計画の更新、経済性、リスク考慮など、複雑に絡み合った条件を踏まえながらコーヒーを飲む間に最適化でき、そのインパクトはコスト面でも莫大なものに。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回ICCサミット KYOTO 2023は、2023年9月4日〜 9月7日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションのオフィシャルサポーターは ファインディ です。


【登壇者情報】
2023年2月13〜16日開催
ICC FUKUOKA 2023
Session 11C
AIの最新ソリューションや技術トレンドを徹底解説(シーズン4)
Supported by ファインディ

「AIの最新ソリューションや技術トレンドを徹底解説(シーズン4)」の配信済み記事一覧


武藤 ALGO ARTIS(アルゴ・アーティス)のソリューションがどのようなものかざっくり言うと、こちらの2つ目の項目の、複雑な組み合わせ問題を解くところ、ここをAIがやります。

ここが非常に重要で、先ほどグレーの部分を喜んでいたのは(Part.5参照)これに近いのですが、まず、ここは人がやらなくていいよねと。

尾原 会場の皆さんは今、「簡単じゃない?」「単純なことじゃん」と思っているでしょう?

こういう話は、ここからがすごいですからね、本当に。

コーヒーを飲む間に複数の計画が自動でできる

武藤 計画策定をウェブUI上でポチっと押せば、数分待機するだけで最適化できます。

重み付けを変えれば複数の計画が出せるので、経済性を重視した計画、安全在庫重視の計画、環境を重視した計画などを、同時に、しかもポチっと押してコーヒーを飲んでいるだけで作れます。

もともと全部の時間を使っていたところには、時間を使わなくて良くなります。

何ができるようになるかというと、担当者はこの中からどの計画が良いか、良い計画の検討に集中できる状態になります。

結果としては作成時間も数分になるし、代替計画もすぐ立てられます。

経済性も高くてリスクも低い、そして今までの計画の立て方だと取り込むのも無理なぐらい限界を迎えているのですが、今まで考えられていなかったパラメータも取り込んで、さらに拡張していけるのが我々のソリューションです。

ALGO ARTISの「Optium」は、人間の能力を超えた複雑な運用計画を毎日最適化できる(ICC FUKUOKA 2023)

尾原 今までだと1つ作るのでヘトヘト、だからみんなが安全で満足できるところに落ち着くから、収益性に犠牲が出てしまいます。

しかし、ある程度時間を掛ければ他のプランもポンと出るのであれば、じゃあ安全性重視プランも作ってみよう、収益性を追求したらどこまでリスクマージンが減ってしまうんだろうみたいなことも見てみようとやってみる。

そして5種類出してみると、実はこのパターンは意外といいんじゃないかというものができたりするということですね。

武藤 まさにそうです。

都筑 1つ質問させていただきたいです。

例えば経済性重視計画の中でも松竹梅のようなパターンがあるのか、それとも基本的に正解は数学的に決まるのかでいうと、どちらなんですか?

武藤 経済性重視でも複数パターンがあります。

これは結構どう作るかにもよるのですが、まずベースで提供するのは、例えば、経済性重視はこのプランと決めるのですが、さらに細かく調整したい場合には、イメージとしては音楽のイコライザーのような感じで、重みづけを細かく調整するみたいな機能も提供したりします。

ですから、そういう意味では、結構連続的にいろいろな計画があって、その手段を提供しています。

尾原 安全性レバーとか、収益性レバーとか、ターンアラウンドタイム(※指示してから処理までの時間)レバーみたいな。

武藤 そうです。

都筑 ありがとうございます。

数理最適化という感じだと、一般的には結構正解がバチっと決まるイメージがあるんじゃないかなと思います。

自分もそういうイメージでしたが、感覚的な部分はかなり残されているということですね。

武藤 そうですね。後ほど簡単にアルゴリズムにも触れますが、数理最適化には限界があって、1個解を求めるのは難しいんですよね。

そのため、その中で良さそうな解を出す手法を使っていくので、後ほど見ていただければと思います。

都筑 ありがとうございます。

尾原 若干マニアックな話をすると、AIは目的関数のパラメータチューニングとか、PPOと呼ばれるポリシー最適化とかをしています。

実は質問者が何の意図で最適化したがっているのか、質問者が分かっていないので、そっちをインタラクティブに解決してあげるほうが大事だったりしますものね。

武藤 そうですね。

人件費削減だけでなく“もの”にかかるコストも削減

武藤 最初に経済効果が数億円と言いましたが(前Part参照)、どのように経済効果が出てくるかというと、まず当然人件費削減があります。

ただ、人件費削減だけではなくて、計画で扱っている“もの”自体のコスト削減ができているのが効果になっています。

資源輸入の配船計画では、例えば船が港に泊まれないけれども日本に来てしまった場合は、ちょっと港の外で待っていてもらわないといけなくて、1日だけで数百万円のコストを払う必要があったりします。

他にも、効率的な航路を通らないと燃料費が余分にかかってしまっていることも考えると、実績ベースで、年間で5%程度の削減ができています。

燃料では、燃料費自体もいかに効率的に運用するか、化学の生産系では、例えば作る製品を切り替えるときに機器を掃除しなければいけませんが、掃除するには無駄なコストがかかり、専用の人が必要で、無駄に費用が増えていくところがあるので、いかに効率的な計画にするか。

あとは、陸運で保管料を10%削減できるとか、そういう扱っている金額に対してパーセントで削減幅が出てくるのが計画最適化の特徴になっています。

尾原 なるほどね、今までは事故を起こさないことを前提にした計画だけれども、ALGO ARTISの計画策定では、ここでちょっと停滞すると、どれだけコストが増えるかシミュレーションが全部できます。

ここを犠牲にしたときに、ここのコストが増えるとか、危険性が出るという、リスクの増え方とコストの増え方が明確になるから、トータルで見たらどこまで収益性を上げられるのかがパッと分かりながら最適化できるということですね。

武藤 そうですね。

尾原 めちゃめちゃいいじゃないですか。

武藤 普段から計画に点数をつけるイメージになるので、もともととりあえず作っていた計画が良いものかどうかをしっかり判断できるようになります。

その上で改善もするので、実際に動いている工場だと年間10億〜1,000億円という規模の原価が動いています。

そのパーセントが改善するので、5%改善すると普通に数億円という形になってきます。

実際にお客様に提案している内容でも、しっかりこういう実績を出せているのが現状です。

尾原 そうですね、特に製造業は固定費や、先ほどの船舶が1往復するとかしないかとか、停滞すれば、みたいな準固定費みたいなものが多いから、このパラメータを超えてしまったらコストが10億円増えますみたいなものが、実は多いですものね。

武藤 そうですね。

計画最適化ソリューションによる経済効果

武藤 効果をまとめると、まず最初に計画を作成するときの人件費も90%削減できています。

これは実績ベースです。

このコスト削減というのはあくまでも氷山の一角で、マジョリティのメインの経済効果はどこにあるかというと、計画で扱っている“もの”自体の効率化というところになっています。

これが、最初のスライドで言った、1社で1人ぐらいが専属でやっているサプライチェーンの計画策定業務をAIにするだけで、1年あたり数億円のインパクトを出せるというロジックになっています。

尾原 はー、なるほどね。…でもお高いんでしょう? このソリューション(※)は 。

▶編集注:ALGO ARTISの計画最適化ソリューションのサービス名は「Optium(オプティウム)」です。

武藤 えっと…

(会場笑)

尾原 ごめんなさい、言い淀んじゃった(笑)。

武藤 お安くはないですね。

現状で言うと、特徴は、お客様が扱っている金額が大きければ大きいほどインパクトが出やすいことで、今はしっかり対価もいただいています。

尾原 投資対収益が合うということですね。

武藤 そうです。少なくとも3年ぐらいで費用対効果が出て、投資回収できるような金額にはなっている感じです。

尾原 まあそうでしょうね、これだけインパクトがあると。

レベニューシェアモデルを導入

武藤 実は結構攻めたプライシングをしています。

あまり語るつもりもなかったのですが、プライシングでいうと最初の導入フィーは人件費に基づいて一定の費用を出す……

尾原 そうですよね、だってモデルのチューニングはむちゃくちゃ大変ですものね。

武藤 そこがすごい肝になるので、そこはやります。

ただ運用時は出す効果に対して、レベニューシェアのモデルで提案しています。

尾原 カッコイイ~。

武藤 なので、これは本当に会社様にちゃんと損がないように、あと我々が結果にこだわれるように、出す効果の試算をしっかりしていって、それを合意した上で、そのパーセントで金額のライセンスフィーを提案する形でやらせていただいています。

尾原 これはフォローのために言うわけではないですが、モデルを作るということは可視化ができるということだから、ある種経営ダッシュボードを作っているのに近いので、それを外資系にお願いしたりとかすると、多分1ケタ変わるんじゃないですか?

武藤 そうですね。変わるし、さらに言ってしまえば現場の知識が入らないダッシュボードが作られることが多いんですよ。

詳細なところまで入っていないと結局運用できないのに、上流部分だけをちょっと取り出して経営ダッシュボードにしたりすると、結局誰も使わなくて、現場の人は入力作業だけ増えてみたいなことが多くなります。

本質的に実際の業務自体を便利にする中でデータを吸収できるところが、経営ダッシュボード自体も価値を生む状態につながるんじゃないかなと思います。

尾原 僕たち、AIのセッションなのにAIの手前の話ばかり(笑)。でもそこが大事ですからね。

武藤 すみません。ALGO ARTISの事業は特にターゲットが大事で、ここに対するAIについてお話しできればと思いますが、ちょっとだけ事業の話をさせていただきたいと思います。

尾原 もちろんです!

土田 もしかしたら後で出てくるかもしれませんが、質問させてください。

まずモデルを作ります。多分モデルを作るのにはめちゃくちゃコストがかかります。

これに類推するくらい、かかるかもしれないところをチャージして、それで1回作りますと。

そのコストもちゃんと賄えるぐらいレベニューシェアでいけるものなんですか?

武藤 はい、いけます。

そもそもで言うと、まず導入タイミングの中で、ロケットを飛ばす感覚だとイメージしやすいのですが、ロケットって実際モデルで理論的に作っても1回飛ばしただけでは多分上手く飛ばなくて、繰り返し飛ばします。

尾原 2〜3回目で修正して精度を上げていきますよね。

武藤 それはアジャイル開発と同じかもしれないですが、この最適化AIも同じです。

結局1回目のリリースでは、どれだけ頑張って要件を整理しても使えるものにならないので、導入プロセスの中で全力で触ってもらうんですね。

出すとだいたい「ここ全然ダメ」と言われて、「何でですか?」と聞くと、「いや、こういう要件があったんです」みたいに、最初になかった要件が出てくるので、それを全部やった上でリリースするんです。

それが上手くいったときは、現場の方はむしろ結構信頼して任せてくれる状態になって、技法としては後から要件追加もしやすい状態なので、改善提案などお互いにしながら進めますが、基本的には結構省力で運用もできるようなイメージを持っています。

土田 逆にそれをやるからこそ、レベニューシェアでずっとSaaS的に続けていただく、1つのきっかけにもなっているんですか?

武藤 そうですね。

AI会社はよくPoCまでやって成功のプレスを打って、でも現場では使われずに終わっているものも結構あるんじゃないかなと思っていますが、その中で我々は使われ続けることにこだわりを持っています。

尾原 GPTとか派手な話じゃなくて地味でいい話ですねえ、本当に。

でもDXの裏側にAIが必要で、そこを本当に地道にしっかりやっていかなきゃという話ですよね。

武藤 そうです。

関西電力、東北電力、日本触媒で実運用中

武藤 最後に、トレンドではないですが、思っている未来像みたいなところもあって、そこで浸透の話もできたらなと思います。

残りは事業に近いところです。

2兆円の削減の話まで説明したら、AIの話に入ります。

現状運用案件で3社公開しています。

関西電力さん、東北電力さん、日本触媒さんと、いずれも大きい会社に使っていただいています。

特に関西電力さんは最初の案件で、もう1年以上経つのですが、毎日現場の人が触り続けて最適化をしています。

しかも今まで引き継げなかった仕事を、僕たちが知らない間に新しい担当者に引き継いで、さらにその次の人に引き継ぐところまで進んでいるのが最近分かって、それぐらい属人性も排除できる状況になっています。

導入中は現状は5件です。

1件ごとに足が長めなビジネスではあるので、提案件数は少なく見えるかもしれないませんが、1社ごとに数億円のインパクトがあると思うと、そんなには無視できない大きさになってきているかなというイメージです。

特徴がサプライチェーンなので、どんな業界でも基本的にものづくりをしていれば、計画最適化が効いてきます。

先ほど化学と言いましたが、それ以外にも商社、エネルギー、物流、建設、素材、鉄道、自動車、バスなど、あらゆるものに計画策定はあって、そこに効いてきます。

国内市場規模を代表的な部分だけカウントしても、2,500億円あります。

尾原 まずは、メインはこの辺りのジャンルですよね。

武藤 そうです。

さらにインパクトの話ですが、パーセントで計画の改善が効いてくるのが重要です。

国内の売上原価が210兆円ある中で1%改善するだけで、国内の製造業で2兆円の削減ができるというのが、最初のスライド(前Part参照)のロジックになっています。

国外へ行くと100兆円、これは1年あたりなので、インパクトにつながるのではないかと思っています。

本当に社会基盤を最適化していけるんじゃないかと思って取り組んでいます。

尾原 先ほどのスライドの、どこに最適化余地があるかみたいな話を聞くと、1%はできそうというリアリティがありますよね。

武藤 これは試算ではなく実績として書いているので、実際できるということです。

こちらは、1つ目の話をまとめたスライドです。

(続)

カタパルトの結果速報、ICCサミットの最新情報は公式Twitterをぜひご覧ください!
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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/戸田 秀成/小林 弘美

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