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ICC FUKUOKA 2023のセッション「AIの最新ソリューションや技術トレンドを徹底解説(シーズン4)」、今回は事業にAIを活用する3社、DROBE都筑 友昭さん、ALGO ARTIS武藤 悠輔さん、AWL土田 安紘さんを迎えて、その最新ソリューションをご紹介いただきます。全12回の①は、「スタイリストがつくネットショッピング」DROBEから早速解説が始まります。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回ICCサミット KYOTO 2023は、2023年9月4日〜 9月7日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
本セッションのオフィシャルサポーターは ファインディ です。
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【登壇者情報】
2023年2月13〜16日開催
ICC FUKUOKA 2023
Session 11C
AIの最新ソリューションや技術トレンドを徹底解説(シーズン4)
Supported by ファインディ
土田 安紘
AWL株式会社
取締役CTO
都筑 友昭
株式会社DROBE
執行役員CTO
武藤 悠輔
株式会社 ALGO ARTIS
取締役 VPoE
(モデレーター)
尾原 和啓
IT批評家
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▶「AIの最新ソリューションや技術トレンドを徹底解説(シーズン4)」の配信済み記事一覧
毎回新しい学び!AIを語る人気セッションのシーズン4
尾原 和啓さん(以下、尾原) よろしくお願いします。
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尾原和啓
IT批評家執筆家
IT批評家 京都大学院で人工知能を研究。マッキンゼー、Google、iモード、楽天執行役員、2回のリクルートなど事業立上げ・投資を専門とし、内閣府新AI戦略検討、経産省 対外通商政策委員等を歴任。現在13職目 、シンガポール・バリ島をベースに人・事業を紡いでいる。ボランティアでTED日本オーディション、Burning Japanに従事するなど、西海岸文化事情にも詳しい。 NHK「令和ネット論」にてWeb3/メタバースなどを解説 「プロセスエコノミー」は「ビジネス書グランプリ2021」にてイノベーション部門受賞 「アフターデジタル」は元 経産大臣 世耕氏より推挙 11万部「モチベーション革命」は 2018年Amazon KindleUnlimited年間 1位。韓国・台湾・中国などで翻訳多数。
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ICC FUKUOKA 2023、3日目の朝ですけれども、この濃いセッションにわざわざお越しいただきありがとうございます。
「AIの最新ソリューションや技術トレンドを徹底解説」ということで、いろいろな苦難がありながらも、シリーズ4まで来させていただいて、本当にありがとうございます。
<過去のディスカッションはこちら>
▶【一挙公開】AIの最新ソリューションや技術トレンドを徹底解説(全8回)
▶【一挙公開】AIの最新ソリューションや技術トレンドを徹底解説(シーズン3)(全11回)
土田さんは、何回目でしたか?
土田 安紘さん(以下、土田) 今回で3回目です。いつも来させていただいていて。
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土田 安紘
AWL株式会社
取締役CTO(弁理士)
北海道勇払郡生まれ。北海道大学大学院修士課程修了。 2001年4月に松下電器産業株式会社(現パナソニック(株))に入社し、NTTドコモ向け携帯電話のミドルウェア開発に従事の後、本社R&D部門にて幾つもの新規事業開発プロジェクトを牽引。その後、米国シリコンバレーでの社内起業プロジェクトリーダに抜擢され、2012年から2016年まで米国・日本市場向けのモバイルO2Oサービス事業の立ち上げを主導。 AI新時代の到来、AI活用ビジネスの最前線で業界リーダーとして”ふるさと北海道”からグローバル市場を切りひらくための挑戦の場として魅力を感じ、参画。全社技術戦略、知財戦略を統括。2019年9月に取締役就任。
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尾原 本当にありがとうございます。
AWLさんにはシーズン2からずっと出ていただいているのですが、このAIの分野はアップデートがむちゃくちゃ速いので、毎回新しい学びがあります。
今回残念ながら登壇される予定だったTURINGの青木 俊介さんが熱があるということで大事をとって来られず、御三方とご一緒させていただきます。
最初に会場の皆さんの関心度合いを知りたいので、挙手でお知らせください。
すでにAIを使った開発をしている企業の方は?
ああ、やはりだいたい前列に座ってくださいますよね、ありがとうございます。
では逆に、AIを使う側として何らかのAIを使っている企業の方は?
はい、そうすると残りの方は、まだ使っていないけれど興味があるということですかね。
スピーカーの皆さんは基本的にものすごくマニアックに説明していきますので、内容がちょっと分からないなというときは首をかしげていただけますか。
僕は後ろの方々の表情や様子を見て、追加で解説する形で進めていきたいと思います。
というわけで、今回も豪華な御三方です。
各社の紹介として30分程度でプレゼンしていただき、技術好きの我々登壇者がツッコミ合いながら進めていくスタイルにしていきたいと思います。
では、DROBEの都筑さん、お願いします。
ファッションにおけるAI応用を紹介、DROBE都筑さん
都筑 友昭さん(以下、都筑) はい、よろしくお願いいたします。
ご紹介にあずかりました、株式会社DROBEでCTOをしております都筑と申します。
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都筑 友昭
株式会社DROBE
執行役員CTO
半導体のエンジニアとしてキャリアをスタート。回路設計や組み込みのソフトウェア開発などを行っていたが、iPhone3GSの発売によりアプリ開発にハマりソフトウェエアエンジニアにキャリアチェンジ。 ソーシャルゲームプラットフォーム運営会社にてKPIの計測基盤やUnityによるゲームの開発などを行った後、EMとしてゲーム開発チームのマネージメントを行う。 その後フリーランスとなりWeb系の案件を複数行いながら自分の会社の運営を行い、2016年よりBCG Digital Venturesに参画。AIなどの先端的な技術を用いたPoC案件などに携わった後、2019年より現職。
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本日はファッションにおけるAIと我々DROBEの取り組みについて、お話しさせていただければと考えています。よろしくお願いいたします。
「ファッション」と言っても、我々は、「スタイリストがつくネットショッピング」をサービスとしています。
私はCTOを務めていますが、経歴的にはもともと半導体のエンジニアで、その後ソフトウェアの分野に携わっています。研究者というよりは開発者という立ち位置かなと考えています。
本日は、2つメインでお話しさせていただきたいなと思っています。
1つが「ファッションにおけるAI応用の可能性」、もう1つが「弊社DROBEで実践している人とAIの協働」です。
特に昨今ですと、AIに仕事を奪われるんじゃないかという話も結構あると思いますが、そういったところを我々がどのようにやっているのか、お話しさせていただければと考えています。
AIが入る工程の多いファッション業界のものづくり
都筑 ファッション業界に詳しい方ばかりではないと思いますので、ファッションとAIの話の前に、少し業界の全体図をお話しさせていただきたいと思います。
我々が見ているグローバルなファッションのトレンドは、こんな感じかなと思います。
2000年代からFast FashionでZARAやH&M、おそらく今はちょっと違うと思いますが、当時はユニクロさんも、ここに入っていたんじゃないかなと思います。
2010年代はUltra Fast Fashionで、イギリス系のASOS、boohooのような企業が興ってきました。
この時代は、ビッグデータとデータサイエンスによってバキバキに最適化していく時代だったんじゃないかなと思います。
今(2023年2月登壇当時)は皆さんもご存知の方が多いと思いますが、SHEINという中国の企業が、アメリカでReal Time Fashionということで猛威を振るっている状況かなと捉えています。
こちらは、ファッションにおけるものづくり、ものがどうやってできていくのかを、かなり簡略化していますが、図にまとめたものです。
大きく言うと、商品を作っていくときに企画があって、それをデザイナーがデザインして製造可能なパターンに落とします。
それを実際に作って、もしくは企業によっては買い付けをして、販売していきます。
ファッションにおいて特徴的なことは廃棄で、結構問題になっています。
あとはトレンドですが、かなりデジタル化されているかなと考えています。
最近ではYouTubeやTikTok、Instagramなどの動画メディアからトレンドが降りてきて、ユーザーは購買の意思決定でそのデータに影響されたり、もしくはそういったデータをクローラーが大規模にクローリングして企画に反映するようなことがやられているのかなと思います。
2020年代は、私から見てですが、この全てのステップにおいてAIが本格的に入り出しているのが見て取れるかなと思います。
尾原 そうですよね。結構AIが入る工程が多いですよね。
都筑 はい。すごく多いと思いますね。
我々もフォーカスしているのですが、今まではこの図の販売の辺りが結構メインの主戦場だったのかなと思っていますが、本当にここ最近、企画や製造の部分などにもAIが入ってきていて、我々も取り組んでいるので、後でご説明、ご紹介させていただきたいと思います。
尾原 そうですよね。
結局販売力を高めるためには企画力を高めなければいけなかったですし、配送の辺りも含めてちゃんと届けうるかみたいなところで製造等もあるし、そういう意味ではサプライチェーンをやっているALGO ARTIS(アルゴ・アーティス)の武藤さんから、後で鋭いツッコミがあるのではないかと思います。
武藤 悠輔さん(以下、武藤) はい(笑)。
製造・買付のところにAIが入っていないことにちょっとドキドキしていまして……(笑)。
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武藤 悠輔
株式会社 ALGO ARTIS
取締役 / VPoE
慶應義塾大学物理学科を首席で卒業。スマホアプリ制作会社を起業し CTO として従事。2019 年に DeNA 入社。ソフトウェアエンジニアとして、スポーツ事業やエネルギー事業において、認証・認可基盤やユーザ向けサービス、プロトタイプシステムの開発、運用や、チームのマネジメントを行った。2021 年 7 月に DeNA からスピンオフする形で ALGO ARTIS を創業し、取締役に就任。 VPoE として、組織作りから、技術方針の策定や開発プロジェクトの進行を行っている。
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尾原 (大笑)
都筑 そうですよね(笑)。
尾原 逆に言うと、コラボができる可能性がありますね。
武藤 はい、もしかしたら。
尾原 すみません、ちょっとツッコんじゃいまして。
都筑 いえいえ、ありがとうございます。
2020年代はAIによって産業の形がガラッと変わる
都筑 先ほど、2010年代はビッグデータとデータサイエンスを用いたという話をさせていただきました。
若干僭越ながらという感じですが、2020年代、この10年がどういう感じになるのか想像すると、2020年代は本当にいよいよ一般の人が想像するようなAIによって、産業の形がガラッと変わっていくようになるだろうと思っています。
ファッション業界、広く言うと小売り、製造業は、本当にこれからめちゃくちゃ面白い感じになっていくんじゃないかなと思っています。
尾原 そうですよね。
コスト最適化の時代から、付加価値創造がAIでできる時代みたいなところが大きいですよね。
都筑 はい。おっしゃる通りだと思います。
今まで難しいと言われていたような企画やデザインの領域に積極的にAIが使われたり、販売チャネルが多様化して、それこそChatGPTが流行っていますが、AIによる接客、あとは自分をデジタル化してオンラインで試着するとか、そういったものもどんどん実用に入ってくると思います。
もともとファッション自体はそういう業界だとは思いますが、個人のニーズに合わせて、少量多品種がハイパー・パーソナライゼーションみたいな形でどんどん加速していくと思います。
それに耐えるために、最終的にビジネスは圧倒的に効率化されていくようなことが起こっていくんじゃないかなと思っています。
AIがスタイリストの商品選びをサポート
都筑 この辺りを踏まえまして、弊社DROBEがどういったことに取り組んでいるのかお話しさせていただければと思います。
それをお話しさせていただくために、サービスの説明を少しさせていただければと思います。
我々は「スタイリストがつくネットショッピング」をうたったサービスをしています。
ユーザーのUXとしては、主に3ステップあります。
最初に、ユーザーがサービスに入っていただくタイミングで、70問のアンケートに答えていただくステップがあります。
結構こってりした質問を根掘り葉掘りユーザーに聞くことを、まず絶対にやります。
我々はアンケートの結果を「プロフィール」と呼んでいますが、弊社スタイリスト、これは人間ですが、スタイリストがプロフィールを踏まえて商品を選んで、ご自宅にお届けします。
ユーザーにご自宅で試着していただき、気に入ったら購入、それ以外は返品していただき、以降スライドの2と3をずっと繰り返していくサービスになっています。
「この中でAIをどこに使っているの?」という話があると思います。
使われているところは大きく分けると2つあり、まず1つ目がスタイリストのサポートです。
今だいたい130人ぐらいスタイリストがいるのですが、ユーザーのプロフィールを見て商品を決めるプロセスで、この商品をお届けするとユーザーが喜ぶんじゃないかということをAIが提案してくれるのが1つ目です。
2つ目は、ユーザーが直接使っていただける機能ですが、AIによってパーソナライズされたEC(ストア)も運営しています。
これは音楽などに近いかなと思いますが、結構ハイコンテキストなレコメンドをしないといけません。
音楽に例えると分かりやすいと思いますが、一生ロックしか聴かないみたいな人って、そんなにいないと思うんですよね。
洋服もそれに近くて、ずっと綺麗目という人もそんなにいなくて、「たまにはカジュアルで」といったことがあると思います。
我々はテーマ×パーソナライズを、AIを使って実現している感じです。
▶「DROBE」はスタイリングAIで、新しい働き方とファッション体験を提供する(ICC FUKUOKA 2023)
レコメンドはどこまでいっても100%にはならない
尾原 土田さんはアメリカの小売りを見たり、いろいろされていると思いますが、こういうパーソナライズ領域はどんどん進んでいるんですか?
土田 そうですね。
先ほどスタイリストをサポートする話もされていましたが、多分アメリカのほうが、割とプリミティブなデータからちゃんとデータサイエンスして、それをちゃんと自分のビジネスに活用できるループが回っているなと結構思うところがあります。多分これはアメリカ特有かもしれません。
一方で、多分すごく苦労されているんじゃないかなと思うのが、日本人のスタイリストの方たちが本当に使ってくれるAIとは何?となると、AIと違うところの問題もいろいろあるかなと思っています。
「パーソナライズするときに、実際にどう使うの?」「最後は人間がやらなきゃいけないよね?」「人間の最後のさじ加減って、どうしなきゃいけないの?」というところが、やはり結構難しいんじゃないかなと僕は思ったりします。
尾原 そうですね。
個人的にAIベンチャーは本当にもったいないなと思うことがあります。
パーソナライズは計り知れないほど奥が深くて、計り知れないほど売上とリピート率に効くものなのに、パーソナライズというと、なんとなく、「ああ、もうあるもんね」みたいな感じで受け止められて、悔しい思いとかしていません?
都筑 めちゃくちゃしていますね。
今日もそういう話をさせていただこうと思うのですが、ちょっとしたことに思えるかもしれないけれど、めちゃくちゃ大事なことがやはりあって、レコメンドは本当にどこまでいってもやはり100%にはならないんですよね。
画像認識のAIですと、精度何%みたいな数値が出てくると思いますが、レコメンドで100%買っていただくものを作るのはやはり不可能なので、その中でどうしのぎを削るんだというのは日々やっています。
尾原 そうでしょうね。ではその辺りは後で出てくる感じですか?
都筑 はい。
尾原 ワクワクしますね。
【本セッション記事一覧】
- 日進月歩、AIの最新ソリューションやトレンドを語り尽くす135分!
- ファッションAI「DROBE」が目指す究極のレコメンデーションとは
- AIを育成する「DROBE」スタイリストの集合知が最強である理由
- レコメンドの理由は何? AIの「解釈性」がスタイリストのセンスを言語化する
- AI活用により「作る前に販売、廃棄減」が可能になるファッション産業の未来
- 複雑なサプライチェーンの計画策定最適化を行う「ALGO ARTIS」
- 1年あたり数億円のインパクトも! 計画最適化で削減されるコストの内訳
- 人間の考えるプロセスに近い、ヒューリスティック最適化に挑むエンジニアたち
- 人間の高度な知的活動のAI化には価値がある
- “人間の目を超える目”で、何が可能になるのか
- ここまでできる! 1人の客の行動、商品への接触をデータ化する「エッジAI」
- AIはもう飛び道具ではなく、課題を解決するITの技術となる【終】
では、お二方はツッコミをよろしくお願いしますね。
(続)
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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/戸田 秀成/小林 弘美