【NEW】ICC サミット KYOTO 2025 開催情報詳しくはこちら

1. 社会を変える最新テクノロジーを語り尽くす135分!

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ICC FUKUOKA 2025のセッション「最新テクノロジートレンド 徹底解説(シーズン8)」、全11回の①は、田路 圭輔さんが、エアロネクストの最大の特徴とも言えるIP経営について解説します。飛行中のドローンの安定性を保つ革新的な機体構造設計技術「4D Gravity」の特許出願数は、560件を上回るといいます。セッション中、専門用語をわかりやすく翻訳してくださるのは、おなじみ尾原 和啓さんです。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット KYOTO 2025は、2025年9月1日〜9月4日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションのオフィシャルサポーターは EVeM です。


【登壇者情報】
2025年2月17〜20日開催
ICC FUKUOKA 2025
Session 2E
大人の教養シリーズ 人間を理解するとは何か? (シーズン13)
Supported by EVeM

(スピーカー)

田路 圭輔
エアロネクスト
代表取締役CEO

梅川 忠典
リージョナルフィッシュ
代表取締役社長

村上 泰一郎
ピクシーダストテクノロジーズ
代表取締役社長COO

砂金 信一郎
Gen-AX
代表取締役社長 CEO

(モデレーター)

尾原 和啓
IT批評家

「最新テクノロジートレンド 徹底解説(シーズン8)」の配信済み記事一覧


AIが社会に溶け込む今後を語るシーズン8!

尾原 和啓さん(以下、尾原) ICCサミット3日目の朝から、これだけたくさんの方に来ていただきました。


尾原 和啓
IT批評家

IT批評家 京都大学院で人工知能を研究。マッキンゼー、Google、iモード、楽天執行役員、2回のリクルートなど事業立上げ・投資を専門とし、内閣府新AI戦略検討、経産省対外通商政策委員等を歴任。現在13職目 、AI変革を描いた「努力革命」(伊藤羊一共著)はAmazonビジネス書にて新着3日連続1位「アフターデジタル」は11万部、元 経産大臣 世耕氏より推挙。けんすう氏と共催のPodcast「ハイパー起業ラジオ」はAppleビジネスカテゴリーで10連続一位

皆さん、最新テクノロジーがお好きだからですよね?

今回はシーズン8で、シーズン7まではAIを中心に議論してきました。

<過去のディスカッションはこちら>
【一挙公開】AIの最新ソリューションや技術トレンドを徹底解説(全8回)
【一挙公開】AIの最新ソリューションや技術トレンドを徹底解説(シーズン3)(全11回)
【一挙公開】AIの最新ソリューションや技術トレンドを徹底解説(シーズン4)(全12回)
【一挙公開】AIの最新ソリューションや技術トレンドを徹底解説(シーズン5)(全13回)
【一挙公開】AIの最新ソリューションや技術トレンドを徹底解説(シーズン6)(全13回)
【一挙公開】AIの最新ソリューションや技術トレンドを徹底解説(シーズン7)(全11回)

いよいよAIが進化して、あらゆる技術の中に溶け込むと考えた時に、では何を変えるのかというと、田路さんは空を変える、梅川さんは海を変える、村上さんはご老人を変える?

(一同笑)

人を変える、ですね。

そして、砂金さんはCristalの力によって全てを変えるというふうに、社会を変革させていくような技術を持っているスタートアップの方に、自らの技術をじっくり語っていただき、技術をベースにやっていらっしゃる経営者の皆さんで、ワイワイと磨き合っていくセッションになります。

OpenAIとソフトバンクグループが提携。企業向け最先端AI「クリスタル・インテリジェンス」を世界に先駆け日本で提供へ(ソフトバンクニュース)

ドローンから、魚から、音から、AIからという形で、一つ一つを深く知れる機会があるのが、ICCサミット3日目の醍醐味ですので、ぜひ皆さん、楽しんでいただければと思います。

私どもは技術が大好きですので、暴走し出すと、会場の皆さんに分からない言語で盛り上がるリスクがあります。

ですから、皆さんへのお願いですが、分からない言葉を僕らがたくさん喋り始めたら、首を少し傾けてください。

中田あっちゃんの『PERFECT HUMAN』のような感じですね。

はい、伝わらないですね(笑)。

3日目の朝に、ダジャレはいらないですね。

(一同笑)

首を傾げていただくと、僕か砂金さんが解説役として、今の言葉はこういう意味ですと解説しながら、皆さんに届くようにしますし、逆にスピーカーの皆さんは、そのあたりは気にせずに、できるだけディープに語っていただければと思います。

村上 泰一郎さん(以下、村上) ありがとうございます。

尾原 では、135分の長いセッションですが、ぜひ楽しんでいただければと思います。

というわけで、前口上は置いておいて、深い、深い技術の世界に入っていきたいと思いますが、実は、最初の技術は深くではなく、空高く飛んで行くドローンの話です。

エアロネクストの田路さん、よろしくお願いします。

なぜこんなに演技調にやらなければいけないのかという話ですけれども、小芝居のドラマが好きで、ごめんなさい。

(一同笑)

ちょっと小劇場っぽくなりましたけれど、ここからは真面目に田路さんにトスをします。

トップバッターはドローンビジネスを語る、エアロネクスト 田路さん

田路 圭輔さん(以下、田路) トップバッターでやらせていただきます、エアロネクストの田路です。

よろしくお願いします。


田路 圭輔
株式会社エアロネクスト
代表取締役CEO

兵庫県姫路市出身。大阪大学工学部建築工学科卒。1991年、株式会社電通入社。 1999年、テレビ放送のデジタル化を契機に電子番組表(EPG)に着目し、電通と米国ジェムスター社の合弁で株式会社インタラクティブ・プログラム・ガイド(IPG)を共同設立。代表取締役社長としてEPGのデファクトスタンダードとなった「Gガイド」の普及・市場化を実現。 2017年7月、株式会社DRONE iPLAB(DiPL)を共同創業し、取締役副社長に就任。DiPLとの資本業務提携を機に同年11月よりIP経営を実践する次世代ドローンの研究開発型テクノロジースタートアップ、株式会社エアロネクストに代表取締役CEOとして参画。2021年1月ドローン配送事業を主とする子会社株式会社NEXT DELIVERY設立と同時に代表取締役就任。内閣府知的財産戦略本部構想委員会委員。2022年5月全国新スマート物流推進協議会理事就任。

ドローンの開発会社ですが、もともとドローンを社会インフラとして定義するというスタートだったので、今日はサービス自体についても、少し話ができたらと思います。

簡単な自己紹介ですが、電通に入社して、テレビの番組表で知財の事業をずっと長くやっていました。

そこから、ある人との出会いを通じて、ドローン産業に入っていきました。

エアロネクストのIP経営とは

田路 スタートアップとしてビジネスを始める時に、自分が強みにしたのが知的財産だったので、知的財産を使った経営モデルを証明したいというのも、実は起業の一つの目的です。

ドローンという題材自体も好きですが、知的財産をビジネスにしていくこと自体が、僕の好きなことです。

このIP経営の中心が知的財産戦略ですが、特許を守りではなく、攻めで使うやり方をしています。

このビジネスが、最終的に大きくなった時には、当然ROE(自己資本利益率)が高いビジネスができるところが、この経営モデルの一番面白いところです。

尾原 少しだけはさむと、田路さんが代表を務めていたIPGという会社は、テレビ番組表をテレビやパソコンやモバイルに出す時の根幹特許を世界で持っています。

本当に特殊な特許を持っていて、しかも特許のライセンスで脅してお金にするのではなく、その特許をちゃんと社会基盤に変えて、そこで事業にするという稀有な経営をされています。

それをおやりになった方が、ドローンでまたIP経営していくところが非常に楽しいので…、ごめんなさい、ちゃちゃを入れすぎですか?

田路 いや、ありがとうございます。

このやり方をしている人には、あまり会ったことがありません。

ドローンで再現できたら、もしかしたら本物かもしれません

尾原 はい。そうですし、本当にAIが知財を取ってくれる時代になるので、この辺は面白いと思いますよね。

低空域を経済活動の場に変える

田路 特徴は、ライセンスビジネスとサービスビジネスという上流と下流を、両方とも自分のグループの中でマネジメントすることです。

これが新しい不確かな未来を確実にする一番良い方法だということで、僕はこのやり方にこだわってやっています。

成し遂げたい未来は、地上から150mの低空域を経済活動の場に変えることで、2017年に創業しました。

覚えているかもしれませんが、ドローンが首相官邸に落下した翌々年です。

首相官邸にドローン落下、テロ対策の弱点が顕在化 2015年4月22日(日本経済新聞)

尾原 ありましたね。

ドローンの重心を最適化

田路 中国企業のDJIが非常に強くて、もはやドローンのスタートアップがDJIと戦ってどうするのかという空気感が支配的だった世の中で、唯一DJIが取っていないアプローチを見つけたことで、ドローンでいけると確信を持ったという流れです。

というのも、DJIが発明したのは、ホバリングするドローン、つまり重心が下にあって空に浮く技術でした。

ホバリングとは 意味/解説/説明(ドローンジャーナル)

AIの話にもつながりますが、最終的にとてもたくさんのドローンが自律的に飛んでいる社会になると思っていて、その中の一番大きなユースケースが、移動インフラだと思っています。

ヒトを運んだりモノを運んだりするドローンという話になりますが、おそらくホバリング型のドローンでは、そういった未来が来ないと創業期から思っていました。

尾原 なるほど。大きいものを運ぶと、重心の位置が全然違いますものね。

田路 そうです。

エアロネクストの特許技術で一番興味が湧いたのは、飛行部と本体部を分離結合する構造でした。

機体構造設計技術「4D GRAVITY®」とは?(エアロネクスト)

これは独立変位させる特許ですが、これまでのホバリング機体は移動する時、絶対こういう挙動になるのです。

尾原 (4D GravityTM搭載機を見て)おお! 上下にカメラがあった場合に、全然ブレないということですよね。

田路 そうです。

ドローンは、結局空気の力を使って浮いたり移動したりするので、必ず飛行部が傾きます。

その不安定さを解消する方法が分離結合というやり方で、一番最初に取った特許のうちの1つです。

それを今、だいたい500ぐらいの特許に分割拡張しています。

尾原 いい根幹特許の匂いがしますね。

特許出願は563件の「4D GRAVITY」

田路 ここからは技術の話ですが、僕らはそれを「4D GRAVITY」というブランドにしました。

XYZという3次元に加えて、重心を移動させる、コントロールすることから、「4D」と言っています。

飛行体は重心の位置が常に状態によって変わるので、重心を可変にすることで、機体の安定を作る技術を、「4D GRAVITY」と呼んでいます。

飛行中の機体の姿勢や状態、動作によらずモーターの回転数を常に一定に保つために、重心を抗力、揚力を含めてコントロールします。

重心安定に加えて、移動するものは空力がすごく大事なので、この2つの要素を包括的に特許で固めています。

尾原 重心がブレてしまうと、ブレをコントロールするために、ドローンのプロペラの1個をものすごく回さなければいけないとか色々なことが起こってしまって、そうすると途端にAI制御が大変になるし、何よりもプロペラの一部をものすごく回すと、エネルギー消費も大変になるから、飛行距離も短くなりますよね。

田路 そうなのです。

これを原理で分かりやすく説明すると、飛行している物体には必ず重心に対して力やモーメントが働くので、機体が傾くと必ずモーメントで戻ろうとする力が働きます。

だとすると、重心の位置をどこにもっていくのがいいかと言うと、空気力(空力)が作用する点と重心を一致させることが適当だということになります。

この重心と「空気力作用点」と僕が呼んでいる、揚力の作用点を一致させるための機体構造に関する網羅的、包括的な特許を持っています。

つまり「移動するドローンに必要不可欠な特許技術を独占的に所有している会社」と言うと、分かりやすいかなと思います。

(続)

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編集チーム:小林 雅/小林 弘美/原口 史帆/浅郷 浩子/戸田 秀成

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