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1.「老い」から人間を理解することに迫るシーズン11

ICC FUKUOKA 2024のセッション「大人の教養シリーズ 人間を理解するとは何か?(シーズン11)」、全5回の①は、モデレーターの村上 臣さんが、コンパクトに過去10回分の「人間を理解する」議論の成果を紹介。それを踏まえたうえで、今回のテーマ「老い」を発表します。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット KYOTO 2024は、2024年9月2日〜9月5日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションのオフィシャルサポーターは エッグフォワード です。


【登壇者情報】
2024年2月19〜22日開催
ICC FUKUOKA 2024
Session 2F 
大人の教養シリーズ 人間を理解するとは何か?(シーズン11)
Supported by エッグフォワード

(スピーカー)

石川 善樹
公益財団法人Well-being for Planet Earth
代表理事

井上 浄
リバネス
代表取締役社長CCO

中村 直史
五島列島なかむらただし社
代表 / クリエーティブディレクター

福田 真嗣
メタジェン
代表取締役社長CEO

(モデレーター)

村上 臣

「大人の教養シリーズ 人間を理解するとは何か?(シーズン11)」の配信済み記事一覧


シーズン11を迎えた、大人気の長寿セッション


村上 臣さん(以下、村上) 村上でございます。

大人の事情により、今日も無印の村上、無所属でICCサミットに参加しております(笑)。  


村上 臣

青山学院大学理工学部物理学科卒業。大学在学中に仲間とともに有限会社「電脳隊」を設立。 2000年8月、ピー・アイ・エムとヤフーの合併に伴いヤフー入社。 2011年に一度退職した後、再び2012年4月からヤフーの執行役員兼CMOとして、モバイル事業の企画戦略を担当。 2017年11月に8億人超が利用するビジネス特化型ネットワークのLinkedIn(リンクトイン)日本代表に就任。日本語版のプロダクト改善、利用者の増加や認知度向上に貢献し、2022年4月退任。 ポピンズ 及びランサーズの社外取締役ほか複数のスタートアップの戦略・技術顧問も務める。 主な著書に『転職2.0』(SBクリエイティブ)・『Notionで実現する新クリエイティブ仕事術』(インプレス)がある。 

シーズン11ですよ。

ついに前回、シーズン10という節目を越えまして、もうこのセッションを6年も行っているということですから。

井上 浄さん(以下、井上) やばいですね。


井上 浄
株式会社リバネス
代表取締役社長 CCO

博士(薬学)、薬剤師。大学院在学中に理工系大学生・大学院生のみでリバネスを設立。博士課程を修了後、北里大学理学部助教および講師、京都大学大学院医学研究科助教、慶應義塾大学特任准教授を経て、2018年より熊本大学薬学部先端薬学教授、慶應義塾大学薬学部客員教授に就任・兼務。研究開発を行いながら、大学・研究機関との共同研究事業の立ち上げや研究所設立の支援等に携わる研究者であり経営者。多くのベンチャー企業の立ち上げにも携わり顧問を務める。経産省産業構造審議会委員、JST SCORE-大学推進型委員会委員、武蔵野大学アントレプレナーシップ学部客員教授、ヒューマノーム研究所顧問、メタジェン特別顧問などを兼務。

村上 やばいですね。

先ほどカタパルトの審査員をしていたのですが、「TAMが」みたいな話が出ていて、我々のTAMも大きいなと思いました。

世界の人口は80億人にリーチしているわけですから。

人間を理解したくてたまらない皆さんが今日も集まり…ありがとうございます。

ちなみに、リピーターの方はどのくらいいらっしゃいますか?(挙手を促す)

3分の1くらいですね、ありがとうございます。

もうその奥には3万人くらいの人がいますけども(笑)。

井上 その後ろには80億人が(笑)。

村上 そうそう、80億人がね。

相当大きいTAMに向かって行くんですけども、そういうコンテンツでもないので、このこぢんまりとしたF会場で楽しんでいただければと思います。

これから僕は、過去10シーズンの振り返りをし、その後に今回のテーマに入ります。

毎回僕はモデレーターとして、様々なバックグラウンドと知識を持つスピーカーの皆さんから事前に議論したいテーマをお聞きして、DJのように設定します。

そしてセッションの直前、15分前に控え室で話す順番を発表するという、ライブ感あふれるコンテンツです。

ですので、テーマは行ったり来たりします。

石川 善樹さん(以下、石川) このシリーズは、書き起こし記事が、人気があるのですよね。


 石川 善樹
公益財団法人Well-being for Planet Earth
代表理事

予防医学研究者、博士(医学)。1981年、広島県生まれ。東京大学医学部健康科学科卒業、ハーバード大学公衆衛生大学院修了後、自治医科大学で博士(医学)取得。公益財団法人Wellbeing for Planet Earth代表理事。「人がよく生きる(Good Life)とは何か」をテーマとして、企業や大学と学際的研究を行う。専門分野は、予防医学、行動科学、計算創造学、概念工学など。近著は、『フルライフ』(NewsPicks Publishing)、『考え続ける力』(ちくま新書)など。

村上 そう、記事が!

毎回、記事は1年間寝かせた後、ICCサミット開催の直前に公開されます。

石川 そうなんですか(笑)。

村上 そう、一番最後に公開されるのです(笑)。

井上 読むと、「あれ? こんなこと話してたんだなー」って自然と笑顔になりますね(笑)。

村上 ロングランのシリーズなので、過去の記事も結構読んでいただいています。

もし気になる方は、ICCのサイトで読んでいただければと思います。

人間を理解するとは何か? シーズン1~10の振り返り

村上 ということで、本セッションの道のり1~4です。

▶シーズン1:諸科学は万物をどのように「理解」しているか? 自然科学・社会科学・人文科学で異なる“理解の作法” | 【ICC】INDUSTRY CO-CREATION (industry-co-creation.com)
▶シーズン2:【一挙公開】大人の教養シリーズ 人間を理解するとは何か?(シーズン2)(全9回) | 【ICC】INDUSTRY CO-CREATION (industry-co-creation.com)
▶シーズン3:【一挙公開】大人の教養シリーズ人間を理解するとは何か?(シーズン3)(全11回) | 【ICC】INDUSTRY CO-CREATION (industry-co-creation.com)
▶シーズン4:【一挙公開】大人の教養シリーズ 人間を理解するとは何か?(シーズン4 )(全10回) |【一挙公開】大人の教養シリーズ 人間を理解するとは何か?(シーズン4 )(全10回) 【ICC】INDUSTRY CO-CREATION (industry-co-creation.com)

我々はこのセッションをもう6年も続けているのですが、何を話していたかと言うと、かなり哲学的な話も多いです。

たまに(石川)善樹さんがイーロン・マスクの話をしてくれることもありましたが、色々な話をしました。

元祖の大人の教養セッションからスピンオフした歴史セッションや哲学セッションもあります。

我々のテーマである「人間を理解する」ということについては、ギリシャやローマ時代から、ずっと話されているわけです。

でもまだまだ人間について完全に理解されていないので、このセッションはあと1,000年くらい続くと思っております(笑)。

日本の歴史について振り返ってみたり、しめしめ・ワクワクはどこからきたの?と考えてみたり、参勤交代があったように人間には「移動したい」という本能があるのではないかと考えてみたり。

福田さんに来ていただいたのは、シーズン5でしたよね?

福田 真嗣さん(以下、福田) そうです。

村上 おかえりなさいませ。

福田 ただいまです。


福田 真嗣
株式会社メタジェン
代表取締役社長CEO

2006年明治大学大学院農学研究科博士課程を修了後、理化学研究所基礎科学特別研究員などを経て、2012年より慶應義塾大学先端生命科学研究所特任准教授。2019年同特任教授。2013年文部科学大臣表彰若手科学者賞受賞。2015年文部科学省科学技術・学術政策研究所「科学技術への顕著な貢献2015」に選定。同年、第1回バイオサイエンスグランプリにて、ビジネスプラン「便から生み出す健康社会」で最優秀賞を受賞し、株式会社メタジェンを設立。代表取締役社長CEOに就任。専門は腸内デザイン学。著書に「改訂版 もっとよくわかる!腸内細菌叢 ”もう一つの臓器”を知り、健康・疾患を制御する!」(羊土社)。学生時代から25年以上一貫して腸内細菌の研究を行っており、基礎研究と社会実装の両輪で病気ゼロ社会の実現を目指している。

▶シーズン5:【一挙公開】大人の教養シリーズ 人間を理解するとは何か?(シーズン5)(全8回) | 【ICC】INDUSTRY CO-CREATION (industry-co-creation.com)
▶シーズン6:【一挙公開】大人の教養シリーズ 人間を理解するとは何か?(シーズン6) (全8回) (【ICC】INDUSTRY CO-CREATION) (newspicks.com)
▶シーズン7:【一挙公開】大人の教養シリーズ 人間を理解するとは何か?(シーズン7)(全7回) | 【ICC】INDUSTRY CO-CREATION (industry-co-creation.com)

村上 腸内細菌原理主義者の福田さんがですね…。

(会場笑)

福田 それが、人間とは何かについての真理だと思っていますけどね。

村上 後からまた出てきますが、スライドの真ん中にも…。

井上 「乗り物である」(笑)。

村上 人なんて所詮、腸内細菌の乗り物であると(笑)。

井上 ガンダムか(笑)。

村上 メインは腸内細菌であり…。

井上 我々はモビルスーツだったという。

福田 僕、本当に真実に気がついてしまったんですよ。

村上 気がついてしまった。

結局、分泌されているホルモンや色々なものに思考が影響されているわけですが、所詮、腸内細菌に操られているだけであるという話がありました。

また、おじさんは話が長いということが…。

井上 証明されてしまいましたね。

村上 科学的に証明されました。

このセッションは登壇者にPhDがたくさんいるので、インテリジェンスの高い話をしております(笑)。

シーズン8~10では中村さんに参加いただき、コピーライターとしての新しい視点の考えを共有していただきました。

▶シーズン8:【一挙公開】大人の教養シリーズ 人間を理解するとは何か?(シーズン8)(全8回) | 【ICC】INDUSTRY CO-CREATION (industry-co-creation.com)
▶シーズン9:【一挙公開】大人の教養シリーズ 人間を理解するとは何か? (シーズン9)(全9回) | 【ICC】INDUSTRY CO-CREATION (industry-co-creation.com)
▶シーズン10:【一挙公開】大人の教養シリーズ 人間を理解するとは何か?(シーズン10)(全7回) | 【ICC】INDUSTRY CO-CREATION (industry-co-creation.com)

このスライドにも引用させていただきましたが、「つなぐ手の わたしの部分が少しずつ わたしでもなく あなたでもなく」。

(井上)浄さんからは、人の手が触れ合っていると、超ミクロの世界、素粒子レベルでは分子が交換されていて、境界が曖昧になるという物理的な情報もいただきました。

他者との接点や境界はどこなのかという。

石川 私とは何か、というね。

井上 人間の拡張みたいな話で、すごく良かったですね。

村上 そうですね。

前回は、生成AIや人と機械の融合について話しました。

石川 ちなみに、余談ですが…僕は1999年に東京大学に入学しているのですが、その時の国語の入試問題が、まさにスライドの右上にあるように、「人は手をつなぐと、どこまでが自分でどこまでが相手か分からなくなる、さて、私とは何でしょうか」という…。

村上 そんな問題が出たんですか?

石川 1999年にね。

村上 へー!

石川 入試の、国語の第一問がそんな感じで(笑)。

今、ふと思い出しました(笑)。

村上 でも、すごく良い問題ですね。

福田 何て解答したのでしょう?

井上 私でもなく?

石川 「私でもなく、あなたでもなく」(笑)。

(一同笑)

福田 それ、問題文じゃないですか(笑)。

井上 何か、20年越しに解答を…。

石川 回収した気分です(笑)。

村上 前回は10回目という節目だったので、原点に立ち返ってみました。

我々は社会的な動物なので、人からのフィードバックによって理解できることが多いだろうと、他者を理解するというテーマで話させていただきました。

そんな中で善樹さんから、「一緒にいる、一緒になる、一緒にする」、つまり「being、becoming、doing」というフレームワークを紹介いただき、これは人的資本経営が叫ばれる今の経営アジェンダになるだろうと議論しました。

Human resourcesと呼ばれる人的資源とは、一緒に何かをする、doing から始まっていて、Well-beingとは、1人の人間として一緒にいることが大事だということ、そして長い時間を一緒に過ごしていることがbeingにつながり、well-beingになるということでした。

浄さんからは、生物学の観点から、共生をテーマにお話を頂きました。

シーズン11では「老い」について語りつくす!

村上 そして今回は、個人的にもすごく興味のある「老い」というテーマで進めたいと思います。

中村さんからも、五島にいるご両親の話が出ましたし、私自身も、義理の母の介護に直面して急遽老人ホームを探しました。

色々なことがあったので、人とは何なんだろう、何のために生きているのだろうとか、人が老いていく中で、関係している人たちが幸せに暮らしていくにはどうすればいいかとか、考えました。

私はICCサミットに参加し始めてからしばらく経ちますが、みんな、老いていっていますよね(笑)。

私も含め、老いておじさんになったり、それにつれて話が長くなったり(笑)と端々に感じる中で、老いを理解することは人間を理解する上で、特に日本においては大事だと思いますので、アジェンダをこれに設定させていただきました。

皆さん、2025年問題はご存知でしょうか?

日本の大問題です。

いわゆるベビーブームで生まれた団塊の世代が、75歳以上の後期高齢者になるのが2025年だと言われています。

これまでもマーケティングの世界では、ベビーブーマーとかミレニアル世代とかZ世代など、人口におけるボリュームゾーンがありました。

戦後の日本で一番子供がたくさん生まれた世代が団塊の世代と呼ばれており、彼らが一気に後期高齢者に突入するわけです。

つまり、現在も超高齢化社会と言われていますが、ここからが本番なのです。

何が起こるかというと、今でも不足している介護人材の不足、社会保障費と介護費用の財源問題が深刻になります。

ご存知の通り、今の年金制度は基本的に、若手の現役世代がその時代の高齢者を支える仕組みです。

そうなると、常に赤字になるので、赤字国債でそれを補うことになります。

今もそういう状況ですが、2025年以降になると、赤字が雪だるま式に増えていくのです。

定年退職のタイミングも、60から65、70と延びていきますし、死ぬ直前まで元気に生活できるかが課題になります。

かつ、人らしくどう生きるかも重要だろうと思いますので、今日は老いを理解したいと思います。

この時間だけで全て理解できるとは思っていませんが、皆様にもおそらく関わってくる話になります。

まずは問題提起として、善樹さんのお話からまいりましょう。

(続)

編集チーム:小林 雅/星野 由香里/浅郷 浩子/戸田 秀成/小林 弘美

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