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ついにシーズン10突入! ICC KYOTO 2023のセッション「大人の教養シリーズ 人間を理解するとは何か?」、全7回の①は、長い歴史をモデレーターの村上 臣さんがコンパクトに振り返ったあと、GROOVE Xの林 要さんが登場。現在LOVOTを作っている林さんがロボットに初めて関わったPepperから考えだした、人間の感覚の不思議とは?ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット FUKUOKA 2024は、2024年2月19日〜 2月22日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
本セッションのオフィシャルサポーターは エッグフォワード です。
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【登壇者情報】
2023年9月4〜7日開催
ICC KYOTO 2023
Session 2F
大人の教養シリーズ-人間を理解するとは何か?(シーズン10)
Supported by エッグフォワード
(スピーカー)
石川 善樹
公益財団法人Well-being for Planet Earth
代表理事
井上 浄
リバネス
代表取締役社長CCO
中村 直史
五島列島なかむらただし社
代表 / クリエーティブディレクター
林 要
GROOVE X
代表取締役社長
LOVOT開発会社
(モデレーター)
村上 臣
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▶「大人の教養シリーズ 人間を理解するとは何か?(シーズン10)」の配信済み記事一覧
ICCの人気シリーズ、ついにシーズン10に到達!
村上 臣さん(以下、村上) 皆さん、ようこそお越しくださいました。
リピーターの方も、初めましての方も、ようこそお越しくださいました。
大人の教養シリーズの元祖、「人間を理解するとは何か?」でございます。
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村上 臣
青山学院大学理工学部物理学科卒業。大学在学中に仲間とともに有限会社「電脳隊」を設立。 2000年8月、ピー・アイ・エムとヤフーの合併に伴いヤフー入社。 2011年に一度退職した後、再び2012年4月からヤフーの執行役員兼CMOとして、モバイル事業の企画戦略を担当。 2017年11月に8億人超が利用するビジネス特化型ネットワークのLinkedIn(リンクトイン)日本代表に就任。日本語版のプロダクト改善、利用者の増加や認知度向上に貢献し、2022年4月退任。 ポピンズ 及びランサーズの社外取締役ほか複数のスタートアップの戦略・技術顧問も務める。 主な著書に『転職2.0』(SBクリエイティブ)・『Notionで実現する新クリエイティブ仕事術』(インプレス)がある。
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なんと、今回、おかげさまでシーズン10です!
<過去のディスカッションはこちら>
▶【一挙公開】大人の教養シリーズ 人間を理解するとは何か?(全7回)
▶【一挙公開】大人の教養シリーズ 人間を理解するとは何か?(シーズン2)(全9回)
▶【一挙公開】大人の教養シリーズ人間を理解するとは何か?(シーズン3)(全11回)
▶【一挙公開】大人の教養シリーズ 人間を理解するとは何か?(シーズン4 )(全10回)
▶【一挙公開】大人の教養シリーズ 人間を理解するとは何か?(シーズン5)(全8回)
▶【一挙公開】大人の教養シリーズ 人間を理解するとは何か?(シーズン6)(全8回)
▶【一挙公開】大人の教養シリーズ 人間を理解するとは何か?(シーズン7)(全7回)
▶【一挙公開】大人の教養シリーズ 人間を理解するとは何か?(シーズン8)(全8回)
▶【一挙公開】大人の教養シリーズ 人間を理解するとは何か? (シーズン9)(全9回)
(拍手)
いや~、10ですよ、10!
井上 浄さん(以下、井上) 5年ですよね。
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井上 浄
リバネス 代表取締役社長CCO
博士(薬学)、薬剤師。大学院在学中に理工系大学生・大学院生のみでリバネスを設立。博士課程を修了後、北里大学理学部助教および講師、京都大学大学院医学研究科助教、慶應義塾大学特任准教授を経て、2018年より熊本大学薬学部先端薬学教授、慶應義塾大学薬学部客員教授に就任・兼務。研究開発を行いながら、大学・研究機関との共同研究事業の立ち上げや研究所設立の支援等に携わる研究者であり経営者。多くのベンチャー企業の立ち上げにも携わり顧問を務める。経産省産業構造審議会委員、JST SCORE-大学推進型委員会委員、武蔵野大学アントレプレナーシップ学部客員教授、ヒューマノーム研究所顧問、メタジェン特別顧問などを兼務。
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村上 5年ですよ。
5年これをやっているというのは…。
井上 5年ですよ!
村上 5年もやって、まだ理解できていないのかお前ら、というプレッシャーはありますけども(笑)。
ギリシャ時代から数千年以上もずっと考えられているテーマですから、まあ、我々に分かるわけがないという前提で(笑)。
このセッションは、こういう深遠なテーマを掲げ、色々なゲストを招き、いつものメンツと絡み合わせてお届けしています。
そして今回10回目ですが、初めての方はいらっしゃいますか?(挙手を促す)
だいたい半分くらいですね。
新規の人が入ってきて、離脱して、を繰り返し、今全国で78人ほどファンがいらっしゃると認識しております。結構いますよ(笑)。
このセッションは、まあ、基本的には雑談です。
登壇者にはPhDが2人(※井上さんと石川さん)いるので、まずアカデミック、言葉のプロフェッショナルである中村さん、そしてよく分からない(林)要さんがいて、と(笑)。
(会場笑)
でも林さんは、テクノロジーと前澤(友作)さんのふわふわした感じの両方を扱える、稀有な人材です。
こんな感じで話していきます。
井上 なんていう紹介だ(笑)。
村上 雑ですよね(笑)。
でも、話しているテーマは意外と真面目でして、こうして振り返ってみると、細菌の専門家(メタジェン福田 真嗣さん)を呼んだり(シーズン5)、おじさんは酒を飲むと話が長いことの科学的なエビデンスを紹介していただいたり(シーズン7より)。
井上 (笑)。
村上 歴史の話になることも多いですね。
若手とベテランとコネクターが三角形になると組織がイノベーティブに、うまくいくようになるとか(シーズン8より)、我々はどこから来たのかという深遠なテーマ(シーズン9より)とか、複数の居場所と健全な多重人格を持てばWell-beingに貢献するとか(シーズン9より)。
また、「つなぐ手の わたしの部分が少しずつ わたしでもなく あなたでもなく」という、前回シーズン9で中村さんが紹介してくれた短歌は、僕にめちゃくちゃ刺さっております。
ちょうど1つ前のセッションでも、人とのコミュニュケーションというテーマで話したのですが、すごくミクロな話をすると、握手をしている時、素粒子レベルで物質が交換されているのですよね(シーズン9より)、浄さん。
井上 そうです。
村上 面白いですよね。
触るということは、弱い力で、2つの物体の間で少しだけ物質が交換されていると。
井上 ぬか床も、自分になっていくという…(シーズン9より)。
村上 そうなんですよ。
すごくミクロな観点では、常に物質交換がなされていて、では我々は何なのか。
色々な物を取り込んだり、渡したりしているということで、それはコミュニケーションに影響があるのではないかと話していました。
シーズン10では、他者理解の深部にせまります!
村上 今回はぐるっと1周回って、すごく基本的な「他者理解の深部にせまる」というテーマで、ここにいるスピーカー4人に語っていただきます。
このセッションは、開催の1週間くらい前に僕がスピーカーに宿題を出します。
僕はモデレーター兼DJみたいな感じなのですが、毎回、コミュニケーションやWell-beingなどテーマを決めます。
しかし今回は10回目の記念なので、今一度、人間を理解するというところに立ち戻ります。
ICCサミットでは、組織の壁や採用など、色々な役に立つセッションがあります。
事業を経営してCo-Creationをするには人材、つまり人間が一番重要です。
期待値設定をすると、このセッションは正直、今日も明日も明後日も役には立ちません(笑)。
しかし、他者と自分を理解する、つまり普段考えていないことを、少しでも視野を広げて考えられればと思っています。
というわけで、このテーマで早速、要さんからお話しいただきたいと思います。
共に暮らす柔らかく温かいロボット「LOVOT」の生みの親、林 要さん
林 要さん(以下、林) はい。よろしくお願いします。
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林 要
GROOVE X 代表取締役社長
1973年愛知県生まれ。1998年トヨタ自動車入社、スーパーカー「LFA」やF1の空力開発に携わったのち、量産車開発マネジメントを担当。2011年、「ソフトバンクアカデミア」に外部第一期生として参加、翌年ソフトバンクに入社し、「Pepper」プロジェクトに参画。2015年、GROOVE X株式会社創業。2018年12月、家族型ロボット『LOVOT(らぼっと)』を発表し、翌2019年出荷開始。CES2020にて「INNOVATION AWARD」を受賞の他、『Refinery29』のBEST OF CES、グッドデザイン金賞、WELLBEING AWARDSモノ・サービス部門GOLDインパクト賞等、受賞多数。著書に2023年5月発売の『温かいテクノロジー』等。
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スライドには「無知の知」と書いていますが…ここにいる皆さんはそもそも、人を理解しようと考えて仕事をされている方が多いと思います。
僕は空気の流れの専門家で、人のことを理解する必要はなかったのです。
村上 補足すると、要さんはトヨタF1でウイングを作った、空気力学の専門家です。
林 そうですね、レーシングカーの翼などを作っていました。
基本は空気の流れの専門家なので、空気のことは理解しようとしていましたが、人のことはあまり理解しようとしていませんでした。
村上 空気を読む、の空気ではなく、リアル空気のことを言っていますよね(笑)?
林 はい、リアル空気を読んでいました(笑)。
このセッションでも、F1の空力については1時間くらい語れるのですが…。
村上 そうですね。
林 でも、人の空気のことはあまり分析したことがない中で、今のプロダクトを開発し始めました。
紹介動画など用意してきていないのですが、僕はLOVOT(らぼっと)というロボットを作っています。
ペットのようにだんだん家族になるロボットなのですが、それを作るには人のことを知らなければいけないので、まさに自分は何も知らなかったという反省を活かし、どういう道筋で作ってきたかをご紹介したいと思います。
そもそも、他者を理解する時、テクノロジーと人の関係とは何なのだろうと。
僕は前職で、初めてロボットに仕事として携わりました。
孫 正義さんがPepperというロボットを世に出すために始めたプロジェクトに関わらせていただきましたが、それがまさに、僕が人を理解することに踏み出した一歩だったのです。
その時にはたと気づいたのは、僕はまず自分のことを結構知らないなということです。
転落しないと分かっていても降りられない不思議さ
林 当時流行っていたテクノロジーにVRというものがあり、こういうアクティビティがありました。
外から見れば、スライドの左の写真のような状態です。
この写真の一番奥の場所でVR機器をつけ、歩いて、写真の手前にある黒いものを持って帰ってくるというアクティビティです。
機器をつける前は、絶対に安全なことは知っているわけです。
絶対に安全なことは分かっている、でも機器をつけた途端、この人は、スライドの右の写真のような映像が見えるようになるのです。
絶対に安全なのに、この板から降りてと言っても、多くの人は降りられないのです。
村上 これ、やったことある人はいますか?
僕はあるのですが、これ、本当にできないのですよ。本当に怖い。
井上 もう怖い(笑)。
林 今、怖い(笑)?
村上 もう怖い。
僕は別に高所恐怖症ではなく、ロッククライミングもやるので…。
井上 それでも?
村上 それでも。
やはり認知として、視覚からすごく情報を得ているのが大きいのだと思います。
それがないと、体が動かないのです。
林 動かないですよね。
このあたりから、もはや他者を知る前に自分を知らないということに気づくわけです。
自分はなぜ、この状態で動けないのか。
分からなくもないのですが、本当に体が動かなくなるのは見ている映像のためなのか、何が要素なのか、などを考え出すわけです。
なぜそれを考え出したかと言うと、もともとはこれでした。
(続)
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編集チーム:小林 雅/小林 弘美/浅郷 浩子/戸田 秀成